「自利利他」でコロナ拡散を防止する|「自利利他」とはどんなこと?
新型コロナウイルスが世界中で感染拡大しており、日本も例外ではありません。
そのため政府は、
「外出時はマスクをしましょう」
「ウイルスが広まりやすい三密(密閉・密集・密接)を避けましょう」
「不要不急の外出をしないようにしましょう」
と行動の自粛を呼びかけています。
海外で先立って「外出禁止!違反者には罰則!」のような強い自粛要請をしている地域ではある程度の効果が出ていますが、日本では法律の面から強制力のある活動の制限ができず、個々の意識に委(ゆだ)ねられています。
そのため、政府の要請に従って外出を自粛している人も多い中、「人が少ない今こそ観光に行こう」「自粛に飽きたから遊びに行こう」「外は三密に当たらないから大丈夫」という人もいて、そこから感染が広がるケースも出ています。
そのような中で日本仏教協会は「新型コロナウイルスの感染拡大防止に『自利利他』」と訴えています。
「自利利他」とは仏教の言葉ですが、「自利利他」とはどういうことで、なぜ自利利他が感染拡大を防止することになるのでしょうか。
自利利他とは
自利利他とは仏教の言葉で、「自利」とは自分が幸福になること、「利他」は他人を幸福にすることをいいます。
このように仏教で言われるのは、仏教では因果の道理が教えられているからです。
因果の道理とは、「良い行いをすれば良い結果が起こる。悪い行いをすれば悪い結果が起こる。自分の行いが自分に現れる結果のすべてを生み出す」という教えです。
すべての人は「悪い結果は来てほしくない。いい結果が来てほしい」と思っていますから、因果の道理がわかると必ず「悪い行いをやめて、よい行いをしよう」という「廃悪修善」の心が起きてきます。
他人を幸せにすること、利他はよい行いです。
まず相手の幸せを考えて行動する「利他」はよい行いです。
自分がよい行いをすると、自分によい結果が返ってくる。
これが「善因善果 自因自果」です。
「利他」、他人を幸福にすることで自分の幸せ、「自利」になります。
これば仏教で教えられる「自利利他」です。
その反対に自分さえよければ、他人はどうなってもいいという考えが「我利我利」です。
他人を押しのけ、己の損得のみで動く言動は仏教では最も嫌われます。
「『我利我利』では自分も周りも、誰も幸せになれない。幸せになりたければ、相手のことを考えて行動しなさい」
とお釈迦さまは勧められているのです。
自利利他と自粛との関係
この自利利他が今勧められるのは、
「自分はコロナウイルスに感染しないし、たとえ感染しても若いから重症化しないから大丈夫」
「海外旅行が安くなっているからヨーロッパへ旅行に行こう」
「ちょっと風邪気味だけどコロナじゃないと思うから遊びに行こう」
と、自分が無自覚に感染していて他人に感染させる可能性があることを考えずに、やりたいことをする人がいて、そのために今まで感染者のいなかった地域に感染者が出たり、海外で感染して帰国して感染拡大させてしまう例が多いため、
「『自分がやりたいことができれば、周りのことはどうでもいい』という我利我利の考えはやめましょう。相手のことを考える自利利他の行動をしましょう」
と呼びかけられているのです。
「自分が楽しめればそれでいい」という考えで行動していれば、いつになれば収束するか、先行きが見えず、自粛も終わらず、経済は滞り、仕事が減り、失業者が増え、混乱は収まらず、結局自分が不安、苦しむことになります。
これでは自損損他。他人も不幸になり、自分も不幸になります。
非常事態の今、我利我利な行動は慎み、自利利他の精神で行動して、このコロナ禍を乗り切りましょう。
自利利他についてこちらの記事でも解説しています。
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