「精進する」と「精進料理」 浄土真宗だけが精進料理がないのはどうしてか?
「精進」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
「努力しなさい」ということを「精進しなさい」と言ったり、お寺で出される料理を「精進料理」と言ったりするので、聞いたことがある方は多いと思います。
では「精進料理」とは努力する料理なのでしょうか。
努力する料理?意味がわかりません。
この記事では「精進」の意味について説明します。
(質問):精進料理の「精進」とはどんな意味でしょうか
(解答)
精進とは「せいしん」ではなく「しょうじん」と読みます。
葬式などで、精進料理を食べたことはありますでしょうか。
精進料理は肉や魚が入っていない料理で、有名なのは「がんもどき」です。
語源には諸説ありますが、雁(がん)の肉に味を似せた(もどき)とされることから「がんもどき」といわれるようになったというのが有力です。
山にこもって修行する仏教では、肉を食べることは戒律で禁じられていました。
そのため、精進料理は僧侶には必須の食事であり、食事もまた修行の一つとして重要視されました。
私たちがよく食べている、豆腐・油揚げ・納豆なども精進料理を研究する過程で生まれたものです。
現代の寺院の中には参拝者を宿坊に泊め、精進料理を提供して修行の一端を体験させているところも少なくありません。
今では寺院だけでなく、葬式や法事、お盆などで一般家庭や料理屋でも作られるようになっています。
しかし浄土真宗には精進料理はありません。浄土真宗では肉食を禁じていないからです。
僧侶で初めて公然と肉食妻帯(にくじきさいたい)なされたのが親鸞聖人です。
そのため親鸞聖人の開かれた浄土真宗では、精進料理をすすめられることはありません。
どうして親鸞聖人は公然と肉食妻帯されたのか、お知りになりたい方はこちらへ
→ 親鸞聖人は、なぜ公然と肉食妻帯(殺生と結婚)なされたのですか?
六波羅密の精進とは
仏教では六つの善い行いが教えられています。これを六波羅密(ろっぱらみつ)とか、六度万行(ろくどまんぎょう)ともいわれます。
布施(ふせ)
持戒(じかい)
忍辱(にんにく)
精進(しょうじん)
禅定(ぜんじょう)
智恵(ちえ)
です。
今日の言葉で説明すると
(今日の言葉)
布施 = 親切
持戒 = 言行一致
忍辱 = 忍耐
精進 = 努力
禅定 = 反省
智恵 = 修養
4番目に「精進」があります。これは、肉や魚を食べないことではなく、精を出して進むということで、努力することをいいます。
同じ「精進」という言葉が使われていますが、意味が異なりますので、注意しましょう。
まとめ
精進料理とは仏教の戒律を守るために肉や魚などの殺生をしていない食材を使った料理のことです。
しかし浄土真宗では親鸞聖人が肉食妻帯をされたため、精進料理は勧められません。
精進の本来の意味は仏教で教えられる六度万行の1つ「精進」のことで、現代の意味では「努力」ということです。
六波羅密、六度万行には、精進のほかに5つあります。
それぞれどんな意味か、お知りになりたい方はこちらへ
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