因果の道理(因果応報)の本当の意味|因果応報とカルマとの関係は?
「因果応報」や「カルマ」という言葉を聞かれたことがある方も多いと思います。
「因果応報」も「カルマ」も仏教から出た言葉です。
どちらも仏教に説かれる「因果の道理」と関係があります。
お釈迦さまの教えを書き残されたお経は、7000巻余りありますが、そのすべてのお経を貫いている根幹の教えが「因果の道理」です。
ですから「因果の道理」がわからなければ、お経を読んでもわかりませんし、お釈迦さまの教えを理解することもできません。
仏教が一切わかりませんし、「因果応報」や「カルマ」の意味もわかりません。
そこで今回は「因果の道理」を通して「因果応報」「カルマ」について解説します。
因果応報について動画で学びたい方はこちら。
道理とは
「因果の道理」の「道理」とは、仏教では「三世十方を貫くもの」をいいます。
「三世十方を貫く」とは、三世を貫き、十方を遍くということです。
「三世を貫く」とは、三世とは、過去、現在、未来ということで、いつでも変わらないということです。
「十方を遍く」とは、十方とは、東西南北上下四維のことで、どこでも変わらないということです。
ですから「道理」とはいつでもどこでも変わらないものという意味です。
科学の分野での万有引力の法則や慣性の法則のような科学的真理も、いつでもどこでも変わらないものです。
法律や倫理道徳は、時代や国によって変わるので道理とは言われません。
仏教は、約2600年前のインドで説かれましたが、どれだけ時間が経ってもどれだけ時代が変わろうとも、どこの国に行っても宇宙に飛び出しても、変わらない道理が教えられています。
因果とは
「因果」とは、原因と結果のことです。
どんな結果にも必ず原因がある
原因のない結果は、絶対にない。
これが、原因と結果の関係です。
事故が起きた時に誰もが知りたいのが、どうしてそんな事故が起きたのかという原因です。大きな事故の場合、必ず原因究明がなされます。
原因のない結果は絶対にないからです。
もちろん調べても原因がわからないことはあります。
しかし「原因がない」と「原因がわからない」は全く違います。
「原因がわからない」とは、原因はあるけどわからないということですから、原因がないのとは異なります。
どんな結果にも必ず原因があるのです。
因果の道理で教えられること
飛行機の墜落や車の事故などの因果関係もありますが、仏教では幸福や不幸の原因と結果の関係が教えられています。
それが、私たちの一番知りたいことだからです。
誰もが、不幸になりたくない、幸せになりたいと思って生きています。
将来どうなるかわからない。このままだと不幸になるのではないかと思うと、不安になります。
どうすれば幸せになれるのか、皆が知りたいことをお釈迦さまは教えられているのです。
幸福や不幸の原因と結果の関係
私たちの幸・不幸の原因と結果について、お釈迦さまは次のように明示されています。
善因善果(ぜんいんぜんか)
悪因悪果(あくいんあっか)
自因自果(じいんじか)
「善因善果」とは、善い原因は善い結果を生み出す、「悪因悪果」とは、悪い原因は悪い結果を引き起こす、ということです。
善い種をまいて悪い結果が起きることも、悪い種をまいて善い結果が現れることもありません。
まいた種に応じたものが生えてくるということです。
植物で例えると、カボチャの種をまいたらカボチャ、ナスの種をまいたらナスが生えてきます。
カボチャの種をまいてナスが出てきたり、ナスの種をまいてカボチャが出てくることは、絶対にありません。
次に「自因自果」とは、自分のまいた種の結果は、自分に現れるということです。これを「自業自得」とも言います。
他人のまいた種の結果が自分に現れる「他因自果」もなければ、自分のまいた種の結果が他の人に行く「自因他果」も絶対にないということです。
自分が健康になろうと思ったら、自分が運動し、自分が食事に気をつけねばなりません。
他の人がどれだけ心配しても、本人がやらなければ、本人に結果は現れません。
ここで「因」とは「行い」のことであり、「結果」とは「運命」のことです。
行いのことを仏教では「業(ごう)」と言います。「業」のことを昔のインドの言葉では「カルマ」と言います。ですから「カルマ」とは私たちの行いのことです。
よい行いをすればよい運命、悪い行いをすれば悪い運命が訪れる。
幸せというよい運命はよい行いが生み出したものであり、不幸や災難という悪い運命は悪い行いが引き起こしたものであるということです。
よいのも悪いのも、自分に現れる結果のすべては、自業自得。自分の行いによって生み出されたものですよと、お釈迦さまは教えられています。
これを因果応報といいます。
まとめ
「因果応報」も「カルマ」も仏教の「因果の道理」という教えから出た言葉です。
「因果の道理」は仏教の根幹の教えです。
仏教では「行い」のことを「業」と言い、インドの昔の言葉で「カルマ」と言います。
「因果の道理」とは「よい行いをすればよい結果がやってくる。悪い行いをすれば悪い結果がやってくる。自分に現れる結果のすべては、自分の行いによって生み出される」という教えです。
これを漢字四字で「因果応報」と言います。
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