「99人の壁:ジャンル『仏教』」|古舘伊知郎さんへの問題を解説します
平成31年2月3日にフジテレビ系列の「超逆境クイズバトル!!99人の壁」というテレビ番組にゲストとして古舘伊知郎さんが出演されていました。
「99人の壁」は、100人の参加者の中から選ばれた1名のチャレンジャーがそれを阻止しようとする99人のブロッカーを相手に、自分の“得意ジャンル”でクイズに挑戦し、5問連続で正解すれば賞金100万円を獲得できるバラエティ番組です。
古舘伊知郎さんといえばスポーツ実況やニュースのアナウンサーなどで有名ですが、最近仏教に関心があるそうで、クイズのジャンルに仏教を選ばれていました。
第1問はお釈迦様のご一生の内容で、花まつりや菩提樹など、お釈迦様について少し勉強していれば、難しい問題でははありませんでした。
第2問は仏教の大乗仏教、小乗仏教などの仏教の基礎知識の話でした。
第3問のキサーゴータミーの話と第4問はあまり知られていない内容ですので、解説したいと思います。
子どもを亡くした母親にかけられたお釈迦様の言葉
第2問は「釈迦の逸話で幼子をなくしたゴータミーという女性に釈迦が『これを探して持ってきなさい』と命じたものとは何か」という問題でした。
答えは「辛子(からし)の実(芥子(けし)の実でも可)」です。
古舘さんはこの話を解説して「お釈迦様はキサーゴータミーに『あきらめなさい』と言ったんです。でもそれは『あきらかにみる』ということなんです」と言われていました。
「あきらめる」というとお金を落として探しても見つからず、困っている相手に「もう見つからないよ。あきらめな」のように、相手に断念させるために使われるのが現代の使い方ですが、元は仏教の「諦観」から来た言葉です。
「諦観」は「ていかん・たいかん」あるいは「あきらめ」と読み、「諦(あきら)かに観(み)よ」という意味です。
何を諦かに観るのかと言いますと、原因と結果の関係を明らかに観るということです。
お金を落とした例でいえば、「なんで落としてしまったんだ、俺はなんてバカなんだ」とただ落ち込むのではなく、お金を落としたという事実を観て受け入れ、なぜお金を落としたのか原因究明を行い、次は落とさないように対策を立てることをいいます。
お釈迦様がキサーゴータミーに「あきらめなさい」と言われた、という話は「もう子どもは死んだのだからどうしようもないよ、あきらめなさい」という冷たい言葉ではなく、「子どもが亡くなった現実をよく観て、受け入れなさい」と仰ったお言葉なのです。
キサーゴータミーの逸話自体についてはこちらの記事に載せています。
三蔵って人の名前?
第4問は「仏教の3つの教え『経』『律』『論』に精通した僧侶のことで日本では『西遊記』で天竺を目指す登場人物の呼び名として一般的な言葉は何?」という問題でした。
答えは「三蔵法師」です。
番組内では問題が「『経』『律』『論』に精通した」の部分まで読まれたときに別の人に答えられてしまい、古舘さんは惜しくも負けてしまいました。
『経』『律』『論』とは、
『経』とは、お釈迦様の教えが説かれたお経。
『律』とは、仏道を求める僧侶が守らなければならない規則。戒律。
『論』とは、お経を菩薩と呼ばれるインドの高位の僧侶が解釈した書物。
のことです。
三蔵法師とは西遊記の影響で人の名前のように思っている人も少なくありませんが、『経』『律』『論』に精通して、インドから中国へと経典を運び、サンスクリット語で書かれたお経を中国語に翻訳する仕事をしていた僧侶を指します。
そのため三蔵法師と言っても、1人ではなく、たくさんいて、多くの三蔵法師のおかげで、仏教はインドから中国に伝わり、中国から日本へ伝わってきました。
三蔵法師について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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