なぜ線香をお供えするのですか?
(質問):なぜ線香をお供えするのですか?
(解答)
仏前では「線香」をお供えします。
線香は、香木や香草を粉にし、練ったものですから、たくと煙とともによい香りがします。
それが人間の体臭を消すとして、阿弥陀仏への礼儀に使われるようになりました。
仏教では、この世界のことを、浄土に対して「穢土(えど)」といいます。
「穢土」とは、けがれた世界ということで、苦しみの絶えない世界という意味です。
「娑婆(しゃば)」という言葉を聞いたことのある方は多いと思います。
「娑婆」とは、昔のインドの言葉で、中国の言葉では「堪忍土(かんにんど)」といいます。この世界は、堪えがたきを堪え、忍びがたきことを忍び、生きていく世界なので、堪忍土といわれます。
親鸞聖人は、すべての人間は「有漏の穢身(うろのえしん)」と仰っています。
超世の悲願(ちょうせのひがん)ききしより われらは生死の凡夫(しょうじのぼんぶ)かは
有漏の穢身(うろのえしん)はかわらねど こころは浄土にあそぶなり
有漏とは、仏教で煩悩のことをいいます。
親鸞聖人は、人間は、煩悩の塊であると教えられています。
煩悩の塊ですから、煩悩が漏れているということで、煩悩を有漏といいます。
穢身とは、穢(けが)れた身ということです。
私たちは煩悩の塊なので、煩悩で穢れているということから、有漏の穢身といわれます。
煩悩とは、代表するものは、欲、怒り、恨み妬みの心です。
私たちは、朝から晩まで、心の中でどんなことを思っているでしょう。
欲、怒り、恨み妬みの心ではないでしょうか。
時には、他人には言えない恐ろしいことを思います。
そんな煩悩の塊の私たちが、
仏前に座る時には、線香をお供えして、心を静めて、合掌いたしましょう。
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