蓮如上人とは?|蓮如上人と親鸞聖人の関係
浄土真宗の方ならば蓮如上人(れんにょしょうにん)のお名前を聞いたことがある方は多いでしょう。
歴史の教科書にも出てきますし、ある地方では「蓮如さん」と呼ばれて親しまれています。
しかしなぜ蓮如上人がそこまで有名なのか、どのような御一生を過ごされたのかを知る人はあまり多くありません。
蓮如上人は室町時代の方で、浄土真宗を日本中に広めた方です。
浄土真宗の祖師といえば親鸞聖人ですが、蓮如上人とはどのような関係なのでしょうか。
蓮如上人はどうして親鸞聖人と共に有名なのでしょうか。
詳しく解説します。
(質問):浄土真宗で最も尊敬されるお方はどなたですか?
(解答)
浄土真宗の教えは、親鸞聖人(しんらんしょうにん)によって大成され、3代目の覚如上人(かくにょしょうにん)によって要約され、8代目の蓮如上人(れんにょしょうにん)によって全国に伝えられました。
浄土真宗ではこれお三方を善知識(ぜんぢしき:真実の仏教の先生)と仰ぎ、尊敬しています。
そして何が浄土真宗の正しい教えで、何が正しい信心かどうかは、これらお三方のお言葉をものさしとして判断されます。
(質問):覚如上人(かくにょしょうにん)とはどんな方ですか?
(解答)
覚如上人は親鸞聖人からじかに教えを聞かれた方と言われます。
覚如上人は親鸞聖人の曽孫に当たり、まず親鸞聖人から如信上人(にょしんしょうにん:親鸞聖人のお孫さん)に直接教えが伝えられ、その如信上人から面授口決(めんじゅくけつ)されました。
面授口決とは、師から直接教えを受けることであり、覚如上人が親鸞聖人からじかに教えを聞かれた方といわれるのはそのためです。
主な著書に「改邪鈔(がいじゃしょう)」「口伝鈔(くでんしょう)」「執持鈔(しゅうじしょう)」「御伝鈔(ごでんしょう)」などがあり、名文家として知られています。
覚如上人についてはこちらでより詳しく解説しています。
(質問):蓮如上人(れんにょしょうにん)とはどんな方ですか?
(解答)
8代目の蓮如上人は、親鸞聖人から約200年後のお方です。
親鸞聖人の教えを正確に、そして多くの人に伝えられた方として、蓮如上人の右に出る方は今日までありません。
蓮如上人がお父様の跡を継いで浄土真宗本願寺派の法主となられたときは、本願寺は三間四方(三間は約5.4m)の小さな寺でした。
それがわずか一代で全国津々浦々に親鸞聖人の教えを徹底されたので、今日、真宗中興の祖、御再興の上人とたたえられています。
蓮如上人は3頭の俊馬を乗り継がれ、北陸、関東、東北と、精力的に布教を展開されました。
親鸞聖人と違い、蓮如上人には著作がほとんどありませんが、その広範囲に及ぶご活躍を知れば、仏教の大学者でもあった蓮如上人に著書が少ない理由もうなずけるでしょう。
上人のみ足にはワラジの緒が食い込み、晩年になってもワラジの痕がクッキリ残っていたと伝えられています。
(関連)
→ 蓮如上人と一休 ありのままに見る
→ 蓮如上人と歎異抄|蓮如上人は歎異抄の危険性を見とおしておられた
(質問):なぜ蓮如上人の時代に全国に広まったのですか?
(解答)
まず挙げられるのが「御文章(ごぶんしょう)」(「御文」とも呼ばれる)の力です。
「文」とあるように、「御文章」は蓮如上人がご門徒に出されたお手紙を集めたものです。
蓮如上人は著作はほとんどありませんが、この「御文章」が非常に大きな影響を与えました。
人伝えで教えを正確に伝えるのは大変です。
聞いた人がまず正確に聞いて理解しなければなりませんし、それを口頭で伝えるときにも正確に伝えなければなりません。
しかし紙に書かれたものならばそのような心配はありません。
お手紙を拝誦すれば、正しい教えを正しく伝えることができます。
親鸞聖人の教えを仮名交じりでかみ砕いて書かれた「御文章」は「凡夫往生の手鏡(ぼんぶおうじょうのてかがみ)」といわれます。
私たちが破闇満願(はあんまんがん)する(関連:「他力本願」の誤解と、本当の意味とは?)のに大切な要はすべて書いてあるから、手鏡のように常に手元に置いて読みなさいよ、ということです。
ですから浄土真宗では、朝晩の勤行で親鸞聖人の書かれた「正信偈(しょうしんげ)」とともに蓮如上人の「御文章」が拝読されてきました。
蓮如上人が書かれた1通の御文章が人から人へ次々に書写され、10の蓮如上人、100の蓮如上人となり、親鸞聖人のみ教えは蓮如上人の御文章によって、燎原の火のごとく急速に全国に広がったのです。
(質問):「御文章」について詳しく教えてください
(解答)
蓮如上人がお亡くなりになった後、孫の円如法師(えんにょほっし)が全国を回ってお手紙を集め、今日の形である5帖80通の「御文章」に編纂されました。
1帖から4帖目までは年代順に、5帖目は執筆時期がハッキリしないものをまとめられています。それ以外に「帖外御文」があります。
数ある「御文」の中でも特に有名なのは「白骨の御文章」でしょう。
(質問):「白骨の御文章」について詳しく教えてください
(解答)
『それ、人間の浮生なる相をつらつら観ずるに』
で始まる文章は屈指の名文といわれ、葬式などで読まれますから浄土真宗以外の人にも広く知られています。
国民的作家、司馬遼太郎氏はこう言っています。
「明治以前の文章家のなかで、平易達意の名文家は、筆者不明の『歎異鈔』と室町末期に本願寺を中興した蓮如上人(白骨の御文章)と宮本武蔵(五輪之書)のほかにはみられない」(真説宮本武蔵)」
(出典)司馬遼太郎『真説宮本武蔵』講談社文庫
(関連)
→ 蓮如上人と白骨の章 書かれた経緯
(質問):蓮如上人は、どんなことを教えられたのですか?
蓮如上人が教えられたことは、親鸞聖人の教え以外にありません。
映画『なぜ生きる』~蓮如上人と吉崎炎上~
http://nazeikiru-eiga.com/
この映画では、蓮如上人が、親鸞聖人の主著『教行信証』の冒頭のお言葉をわかりやすく説明されています。
(関連)
→ 親鸞聖人の主著、国宝『教行信証』
「『教行信証』全巻には大歓喜の声がひびきわたっている」
と文芸評論家の亀井勝一郎氏は言っています。
「釣りバカ日誌」「マルサの女」「大病人」などの映画で活躍し、親鸞聖人の映画「白い道」で監督を行った三國連太郎氏はこう言っています。
「私が一番感動するのは『教行信証』の冒頭の言葉です」
その冒頭のお言葉が
『難思の弘誓は難度の海を度する大船』
です。
このお言葉は、あなたに大切なことを伝えられている親鸞聖人からのメッセージなのです。
『難思の弘誓は難度の海を度する大船』の意味を解説した冊子のデータ(PDF)を、無料メール講座に登録された方にプレゼントしています。
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まとめ
浄土真宗では親鸞聖人、覚如上人、蓮如上人の三方を正しい浄土真宗の教えを伝えられた方として尊敬しています。
蓮如上人は室町時代の方で、日本中に浄土真宗の教えを伝えられました。
その際に蓮如上人の書かれたお手紙である『御文章』が大きな役割を果たしました。
私たちが目にする『御文章』は蓮如上人が亡くなった後に、蓮如上人のお孫さんの円如法師が全国を回ってお手紙を集め、編纂されたもので5帖80通にまとめられています。
その中でも特に有名なのが、葬式で読まれることの多い「白骨の御文章」です。
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