浄土真宗で特に大事にされる3つのお経をご存知ですか?
お経といってもたくさんあります。
お経はお釈迦さまのご説法の記録です。
お釈迦さまは生涯に数多くのご説法をされましたから、そのぶんお経もたくさんになるのです。
お経とはどういうものかについては、こちらの動画で解説しています。
お経の中でもよく名前を耳にする有名なお経といえば、般若心経、法華経、阿弥陀経あたりでしょう。
宗派によって重要視するお経も違います。
では浄土真宗で特に大事にされるお経は何のお経なのでしょうか。
(質問):浄土真宗で大事なお経は何ですか?
(解答)
「浄土真宗で大事なお経」と言われると、よく法事やお盆の時に読まれる「帰命無量寿如来(きみょうむりょうじゅにょらい)」で始まる正信偈(しょうしんげ)を思い浮かべる方もあると思います。
正信偈も漢字ばかりで書かれているからです。
しかし実は、正信偈はお経ではないのです。
お経とは、お釈迦さまの教えを書かれたものだけを言います。
正信偈は親鸞聖人の書かれたものですから、お経ではありません。
正信偈についてお知りになりたい方は、こちらで説明しています。
→ 『正信偈(しょうしんげ)』には何が書かれていますか?
一口にお経といいましても、全部で7000巻余りあります。
(関連)
→ お釈迦さまの説かれた「お経」「経典」「仏典」とは
その中で、特に大事なお経が3つあると、親鸞聖人は教えられています。
- 『大無量寿経(だいむりょうじゅきょう)』
- 『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』
- 『阿弥陀経(あみだきょう)』
の3つです。
これを浄土三部経(じょうどさんぶきょう)といいます。
浄土三部経には、阿弥陀仏(あみだぶつ)のことが集中的に説かれています。
なぜ阿弥陀仏のことを集中的に説かれたお経を大事にするのかは、こちらの記事をお読みください。
(関連)
→ お釈迦さまと阿弥陀仏は、同じ仏さまですか?
浄土真宗で特に大事にされる3つのお経『大無量寿経』『観無量寿経』『阿弥陀経』の中でも、親鸞聖人は、
それ真実の教を顕さば、すなわち『大無量寿経』これなり。(教行信証)
と言われています。
「真実の教」とは真実の教え、真実の経ということで、真実の教とは、お釈迦さまの本心が説かれている経典という意味です。
7000巻余りのお経の中でお釈迦さまの本心が説かれているのは、『大無量寿経』ただひとつであると、親鸞聖人は断言されています。
(質問):『大無量寿経』はどんなお経ですか?
(解答)
お経の中で唯一、お釈迦さまの本心が説かれていると言われる『大無量寿経』とはどんなお経なのでしょうか。
『大無量寿経』は、略して「大経(だいきょう)」とも言われ、上下二巻に分かれています。
『大無量寿経』には、阿弥陀仏の本願が説かれています。
「私がこの世に生まれてきた目的は、阿弥陀仏の本願を説いて、人々を本当の幸せに導くためなのだ」
「阿弥陀仏の本願が説かれている『大無量寿経』は未来永遠に残り、多くの人を幸せにするであろう」
とおっしゃっています。
(根拠)
如来、無蓋の大悲を以て三界の矜哀す、世に出興する所以は道教を光闡し、
群萌を拯い恵むに真実の利を以てせんと欲してなり。
(大無量寿経上巻)
当来の世に経道滅尽せんに、我慈悲を以て哀愍し、
特にこの経を留めて止住すること百歳せん。
(大無量寿経下巻)
このようなことが書かれているお経は、他にはありません。
(質問):『観無量寿経』はどんなお経ですか?
(解答)
『観無量寿経』は、略して「観経(かんぎょう)」ともいわれます。
「王舎城(おうしゃじょう)の悲劇」で有名な、韋提希(いだいけ)夫人へのご説法が記されています。
王舎城の悲劇とはお釈迦さまの時代にあった実話です。
王舎城を首都としていたマガダ国の王・ビンバシャラ王の妃に韋提希(いだいけ)という女性がいました。
王妃として美貌と地位に恵まれていた韋提希夫人でしたが、ある時暴虐な我が子、阿闍世(あじゃせ)太子によって牢獄に閉じ込められてしまいます。
この時お釈迦さまは王舎城の近くの霊鷲山(りょうじゅせん)という山で、「このたびは特に大事な話をしよう」とおっしゃって、大衆を前に『法華経(ほっけきょう)』の説法をしておられました。
しかし、我が子のために牢獄に入れられて苦しむ韋提希夫人の救いを求める声に、『法華経』の説法を中断して、韋提希夫人の元に行き阿弥陀仏の本願を説かれたのでした。
お釈迦さまのご説法を聞いた韋提希夫人は、苦しみから解放され、暗い人生が明るい人生にガラリと変わりました。
(質問):『阿弥陀経』はどんなお経ですか?
(解答)
『大無量寿経』を「大経(だいきょう)」というのに対して、『阿弥陀経』を「小経(しょうきょう)」ともいわれます。
『阿弥陀経』には、阿弥陀仏と極楽浄土の様子が詳しく説かれています。
「シャーリーホー、シャーリーホー」と何度も出てくるのが特徴のお経ですので、浄土真宗の方で、葬式や法事で聞かれたことがある方はピンと来るかもしれません。
お経は普通、誰かの質問に答えられる形で説かれていますが、『阿弥陀経』だけは「無問自説の経(むもんじせつのきょう)」といわれ、お釈迦さまの問わず語りの説かれた大変珍しいお経です。
『阿弥陀経』について、詳しくお知りになりたい方は、こちらへ(上級編です)
浄土三部経に説かれていることを、親鸞聖人は『教行信証(きょうぎょうしんしょう)』に明らかにされています。
まとめ
浄土真宗で特に大事にされるお経は
『大無量寿経(だいむりょうじゅきょう)』
『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』
『阿弥陀経(あみだきょう)』
の3つです。
これらのお経には阿弥陀仏のことが集中的に説かれています。
その中でも親鸞聖人はお釈迦さまの本心が説かれているのは大無量寿経だけだとおっしゃっています。
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