仏像から知る仏教|ご本尊、如来と菩薩、阿弥陀仏とは?
平成31年1月12日にNHKの「さし旅」という指原莉乃さんがレギュラーで出演する番組で『仏像マニアと巡る新春!御利益ツアー』というタイトルで仏像を巡る内容が放送されていました。
普段は気付かない仏像の様子や、仏像から学ぶ仏教の知識が紹介されていましたが番組内で説明されていた内容をもう少し詳しく解説したいと思います。
ご本尊とは
指原さん一向が向かった最初のお寺では、本堂とは別にご本尊が安置されていました。
本尊とは根本に尊ぶべきものということで、そのお寺、その宗派で最も大事にされるものです。
番組では「ご本尊」が安置されている場所を「センター」と呼んでいました。
どの仏様を大事にするかは宗派によって違います。
禅宗なら釈迦如来、天台宗なら阿弥陀如来もしくは釈迦如来、真言宗は大日如来などそれぞれの宗派で様々な仏様を尊び、その仏像を本尊としています。
番組内のお寺では釈迦如来像がご本尊でしたが、そのときに「仏像以外がご本尊の場合もあります」と注釈が出ていました。
仏像以外をご本尊として尊ぶのは浄土真宗です。
浄土真宗では阿弥陀如来を尊びますが、ご本尊は「南無阿弥陀仏」の文字が書かれた名号本尊です。
南無阿弥陀仏を六字の名号といいます。
それは浄土真宗を開かれた親鸞聖人がそのようにされたからです。
改邪鈔(がいじょしょう)という仏教の書籍には
本尊なおもって『観経』所説の十三定善の第八の像観より出でたる丈六八尺随機現の形像をば、祖師あながちに御庶幾御依用にあらず。
天親論主の礼拝門の論文、すなわち「帰命尽十方無碍光如来」をもって真宗の御本尊とあがめましましき。
とあります。
簡単に説明いたしますと、「親鸞聖人は、生涯、木像や絵像などの形ある像を本尊とされず、『帰命尽十方無碍光如来』の名号を御本尊となされた”
という意味です。
『帰命尽十方無碍光如来』も『南無阿弥陀仏』も、ともに同じ名号本尊です。
親鸞聖人の教えを正しく全国に伝えられた蓮如上人は
他流には『名号よりは絵像、絵像よりは木像』というなり。当流には『木像よりは絵像、絵像よりは名号』というなり (御一代記聞書)
とおっしゃり、より平易な言葉で浄土真宗では名号本尊が正しいご本尊であることを教えられています。
こちらの記事でより詳しく解説しています。
如来と菩薩の関係は?
続いて仏像にはたくさんの種類があるという話が出ました。
阿弥陀如来像の両脇に、観音菩薩像と勢至菩薩像があり、周りを楽器を持った菩薩が雲に乗っていて、仏様のお力を表す光背には化仏がいらっしゃり、すべて別の仏像という内容でした。
そこで菩薩とは何かについて、「菩薩は研修生」と話していましたが、「研修生」とはどういうことでしょうか。
仏のさとりを開いた方を「仏」とか「如来」と言われます。
ですから「阿弥陀仏」と言っても「阿弥陀如来」と言っても同じ仏様のことです。
さとりといっても高いさとりから低いさとりまで、全部で52のさとりがあると説かれています。
「菩薩」とは「菩提薩埵(ぼだいさった)」の略で「菩提」は仏のさとりのことで、薩埵は求める人のことですから、最高のさとりである仏のさとりを目指して修行している人を菩薩と言います。
そのため番組では「研修生」という表現が使われたのです。
こちらの記事ではより詳しく解説しています。
阿弥陀如来とお釈迦様の関係
次の場面では仏像フィギュアをたくさん持ちだして並べ「プロデュースするのが楽しい」と盛り上がっていました。
その中で一向に混じっていたお坊さんが
「阿弥陀様のところへ行きなさいと背中を押すのがお釈迦様。それを私たちに教えられたの法然上人だからこう並べたい」と言って、阿弥陀如来、お釈迦様、法然上人のフィギュアを三角形に並べていました。
お釈迦様は生涯仏教を説いていかれましたが、その結論の教えが「一向専念無量寿仏」です。
「無量寿仏」とは「阿弥陀仏」の別名ですから、「一向専念無量寿仏」は「阿弥陀仏一仏に向け、阿弥陀仏だけを専ら念じよ」という意味になります。
このようにお釈迦様が教えられたのは阿弥陀仏がお釈迦様の師匠、先生の仏だからです。
阿弥陀仏についてお釈迦様は
無量寿仏の威神光明は最尊第一にして諸仏の光明の及ぶこと能わざる所なり(大無量寿経)
諸仏の中の王なり、光明の中の極尊なり(大阿弥陀経)
など色々なお経の中で「阿弥陀仏は諸仏よりもずば抜けて尊い仏様である」と教えられています。
お釈迦様も諸仏のお一人ですから、「私ではなく、私の先生で、私よりも尊い仏である阿弥陀仏に助けてもらいなさい」と背中を押されたのです。
そしてその「一向専念無量寿仏」を日本で多くの人に伝えられたのが法然上人であり、その弟子の親鸞聖人でありました。
特に親鸞聖人は「一向専念無量寿仏」を強調して教えられたため、後に親鸞聖人が開かれた浄土真宗を「一向宗」と呼ばれるほどでした。
こちらの記事ではより詳しく紹介しています。
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