浄土真宗のお仏壇の中央には何をご安置すればよいのでしょうか
浄土真宗のお仏壇の中央には何をご安置すればよいのでしょうか。
やはり寺ならば仏像、一般の家ならば仏さまの絵の掛け軸だろうと思われる方が多いと思います。
浄土真宗では、本来、お仏壇の中央に「南無阿弥陀仏」の掛け軸をご安置します。
絵ではなく、「南」「無」「阿」「弥」「陀」「仏」という六つの字を書いた掛け軸です。
一般的には、仏様と言えば、その姿を象った仏像を思い浮かべるので、仏様のお姿ではなく、南無阿弥陀仏の六字をご安置すると聞きますと、驚かれる方もあります。
仏様のお姿ではなく、南無阿弥陀仏を御本尊をされたのは、親鸞聖人が初めてでした。
なぜ浄土真宗では他の宗派と違って、「南無阿弥陀仏」の掛け軸をご安置するのでしょうか。
それは「南無阿弥陀仏」には、ものすごい働きがあるからです。
南無阿弥陀仏とは
漢字6字ですので、南無阿弥陀仏の六字の名号といわれます。
南無阿弥陀仏には、どんなものすごい働きがあるのか。
例えると、私たちの暗い心を明るい心にする薬のようなものだと教えられています。
私たちは「あれがあれば幸せになれる。これがあるから不幸なんだ」と思って、不幸になるものをなくして、幸せになれると思うものを手に入れようとしています。
いったんは幸せになれても、一時的で、いつまでも続かず、本当の幸せになれないまま、時が過ぎていきます。
それはなぜか。
お釈迦さまは「その原因は己の暗い心にある。金や名誉で苦しみはなくならぬ。無ければ無いで苦しみ、有れば有ったで苦しむ。有無同然である。」と教えられています。
その暗い心を明るい心にするのが「南無阿弥陀仏」の六字の働きです。
詳しくはこちらをご覧ください。
南無阿弥陀仏とは一言でいうと「幸せになれる特効薬」
なぜ「南無阿弥陀仏」の掛け軸を安置するのか
では、なぜその「南無阿弥陀仏」をお仏壇の中央にご安置するのでしょうか。
それは「その方がお金がかからないから」「生活習慣が変わったから」などという理由では決してなく、仏教の真髄に根拠があります。
仏教を説かれたお釈迦様は、南無阿弥陀仏によって私たちが本当の幸せになれるので、南無阿弥陀仏一つ教えていかれました。
そのお釈迦様の教えにもとづいて、親鸞聖人は、生涯、南無阿弥陀仏の名号を御本尊となされたのです。
親鸞聖人の教えを日本全国に広められた、蓮如上人が分かり易く教えられています。
他流には「名号よりは絵像、絵像よりは木像」というなり。
当流には「木像よりは絵像、絵像よりは名号」というなり。
(蓮如上人『御一代記聞書』)
「他流」とは、親鸞聖人の教えに反する教えのことです。
他流の人たちは、「名号よりは絵像がよいのだ、絵像よりも木像が最も有り難い」と言って、木像や絵像を本尊としている、と言われています。
「絵像」とは、紙や布に描かれた阿弥陀仏のお姿、「木像」とは、金属や石や木などで作られた阿弥陀仏の立体像のことです。
「当流」とは、親鸞聖人の教えのことです。
「名号」とは、「南無阿弥陀仏」のことです。
他流に対して、親鸞聖人の教えは名号本尊であると、蓮如上人は明らかにされています。
このように「浄土真宗の正しい御本尊は『南無阿弥陀仏』の名号である」とハッキリと教えられていますので、浄土真宗では、「木像」や「絵像」ではなく「南無阿弥陀仏」の「名号」を、お仏壇の中央にご安置しています。
一方で「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と口で称える念仏も「南無阿弥陀仏」と称えています。
念仏につきましてはこちらをご覧ください。
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