お布施もキャッシュレス化?本来のお布施の意味とは
昨年から全国でキャッシュレス決済が推進されています。
街中でもキャッシュレス決済を導入しているお店が多くなりましたね。
この流れに乗り、昨年、お布施をキャッシュレスで払えるように導入した寺があったそうです。
しかし、仏教界としては、お布施のキャッシュレス化に異議を唱える向きもあるようです。
現金か、キャッシュレスか、どちらがいいのかは各人の価値観もありますから難しいところですよね。
ところで、「お布施」とよく聞きますが、そもそもどのような意味があるものなのでしょうか?
布施とは、善い行いの一つ
「お布施」と聞けば、葬式や法事で僧侶に渡すお金のことを思い浮かべる人が多いでしょう。
布施は、普施とも書き、「普く施す」、つまり広く施しをするという意味があります。
ですから、施す相手は僧侶に限りません。
仏教を説かれたお釈迦さまは、生涯でたくさんの善を教えられました。
そのたくさんの善を6つにまとめられたのが六度万行(ろくどまんぎょう)です。
六度万行について、どんなものがあるかお知りになりたい方はこちらの記事をご覧ください。
その六度万行の中でも、一番最初に挙げられるのが布施なのです。
布施するときの大事な心掛け
布施には、大きく分けて財施(ざいせ)と法施(ほうせ)の2つがあります。
財施とは、お金や物を施すことです。
施す、と聞けば、まず最初に思い浮かべるのはこの財施でしょう。
そう聞くと、財施ができるのはお金や物をたくさん持っている人ではないか、と思われるかもしれません。
しかし、布施において大事なのは、施すものの大小ではないのです。
布施において大事な心掛けを教えてくれるエピソードがあります。
また、お釈迦さまはお金や物を施すばかりが布施ではないと教えられています。
お金や物を持っていなくても他人に施しができる、と教えられたのが「無財の七施(むざいのしちせ)」です。
無財の七施については、こちらの記事で解説しています。
お金や物はもちろん、笑顔や言葉など、広く人に与えることが布施なのです。
法施とは仏法を伝えること
対して、法施とは、仏法を施すということです。
仏法を施すとは、仏法を人に教えてあげることを言います。
財施も大変善いことですが、お釈迦さまは「法施は財施に勝る功徳がある」と教えられました。
また、次のような言葉もあります。
「財は一代の宝、法は末代の宝」
お金や物といった財は、確かに施すことで人を喜ばせることができますが、この世限りのものです。
死ぬときに持っていくことはできません。
仏教では、私たちの生命は、生まれてから死ぬまでの間の肉体ではないと教えられます。
生まれる前の過去世から、死後の未来世に向かって滔々と流れる大河のようなもので、肉体は大河にできた泡のようなものだと言われるのです。
その過去世、現在世、未来世にわたって流れる永遠の生命を幸せにする方法を教えられたのが仏教ですから、末代の宝と言われています。
まず自分が正しい教えを聞くのが大事
仏法は正しい教えを知っていないと説くことはできません。
ですから、法施をするには、まず自分自身が正しい教えを知ることがとても大事です。
仏教は聴聞に極まると言われ、続けて聴いていけば、必ずわかる教えです。
そのうえで人に教えてあげたら、自分も人も幸せにすることができますから、素晴らしい布施の行いになるでしょう。
ぜひ続けて学んでいただきたいと思います。
こちらの記事では、お寺の本来の役割について解説しています。
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