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人生で頼りになるものは?「四苦八苦」の波が押し寄せる海を渡す大船

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カテゴリー:基礎から学ぶ仏教 タグ: 更新日:2019/12/13
 

来年度、テレビ東京系列で放送予定の「コタキ兄弟と四苦八苦」というドラマがあるそうです。
脚本は「逃げ恥」を担当したことでも知られる野木亜紀子さんなのだとか。

 

四苦八苦」というと現代でもよく聞くし、使われる言葉ですね。
非常に苦労している様子を表すときに使っていますが、もともとは仏教の言葉でした。
仏教では、どのようなことを表しているのでしょうか。

生・老・病・死の四苦

まず、四苦とは人生の苦しみを大きく4つに分けたものです。

生苦(しょうく)…生きることの苦しみ
老苦(ろうく)…老いる苦しみ
病苦(びょうく)…病の苦しみ
死苦(しく)…死の苦しみ

① 生苦

生苦は、文字通り生きることの苦しみです。
生きていくことは大変でしょう。

 

仕事がなくて職探しに苦しんでいる人もいれば、毎日遅くまで残業して心身をすり減らしている人もいる。
結婚できなくて悩んでいる人もいれば、家族との関係がうまくいかずに苦しんでいる人もいる。

お金を稼いで、衣食住を整えるだけでも大変なのに、それぞれの立場・環境で悩み、苦しみ、大変な思いをしているのが私たちなのです。

② 老苦

老苦とは、老いる苦しみです。
現役時代は大きなけがもなく、風邪をひいたこともなく、健康そのもので仕事をバリバリこなしていた人も、年齢を重ねるごとにだんだん体が思うようにならなくなります。

 

面影の変わらで年のつもれかし たとい命に限りあるとも

このように歌ったのは世界3大美人の一人に挙げられる小野小町でした。
美しい容姿であればあるほど、老いてゆく苦しみは大変なものではないでしょうか。

③ 病苦

病苦とは、病の苦しみです。
人間は病の器ともいわれ、様々な病気にかかる種をもっているそうです。
生涯のうちに何の病気にもかかったことがない、という人はまれなのではないでしょうか。

 

「病」という字はやまいだれの中に「丙」が入っています。
かかった本人にとっては、どんな病気もつらく苦しいもの。
どちらのほうが苦しい、などとは言えず、甲乙つけがたいということから丙という字が入っているのだとも言われます。
それほど苦しいのが病苦でしょう。

④ 死苦

死苦とは、死にゆく苦しみです。
老いを知らず、病気にかかることもなく人生を終える人はありますが、死なない人は一人もありません。
死ぬほどつらい」と言ったりもしますが、生き物にとって最大の苦しみと言えるでしょう。

思い通りにならない世の中

この四苦に次の4つを加えたものが八苦です。

愛別離苦(あいべつりく)…愛するものと離れる苦しみ
怨憎会苦(おんぞうえく)…嫌なものと対面しなければならない苦しみ
求不得苦(ぐふとっく)…求めているものが求まらない苦しみ
五陰盛苦(ごおんじょうく)…五体満足しているがゆえの苦しみ

好きな人と会いたいのになかなか会えない一方、嫌いな人にはよく出くわす。
欲しいものは手に入らず、悩み苦しみは絶え間ない。
世の中はつくづく、思い通りにならないものです。

 

四苦八苦について、もっと詳しくお知りになりたい方はこちらの記事をご覧ください。

四苦八苦の語源は仏教|仏教の目的は「抜苦与楽(ばっくよらく)」です。

苦しみの海を泳ぐ私たち

お釈迦様は、「人生は苦なり」と言われました。
また、浄土真宗の親鸞聖人は人生を海にたとえられて、「難度海(なんどかい)」とか「生死の苦海(しょうじのくかい)」とも言われています。
苦しみ悩みの四苦八苦の波が次から次にやってくるのが人生だ、と教えられているのです。

 

私たちはその波を乗り越えるために、頼りになるものを探して海を泳いでいます。
丸太や板切れなど、つかまるものがあれば一時ほっと一息つけますが、大きな波が来れば、丸太や板切れはとたんにひっくり返ってしまうもの。
そうして塩水飲んで苦しみ、もっと頼りになるものはないかと再び海を泳ぎ始めます。

ひっくり返って苦しんでは次のものを求め、またひっくり返って次のものを求め…。
人生とは、この繰り返しなのかもしれません。

 

「難度海」でたとえられていることについて、こちらの記事でも解説しています。

どんな困難がやって来ても変わらない幸福の世界「親鸞は″無碍の一道″なり」

難度海には大きな船がある

親鸞聖人は、そんな苦しみの波が次から次へとやってくる難度海を明るく楽しく渡す大船があるのだよ、と次のように言われています。

難思の弘誓(なんしのぐぜい)は難度の海(なんどのうみ)を度(ど)する大船
(『教行信証』)

この大船にはどんな人でも乗せていただけるのだから、早く乗りなさいよと教えていかれたのがお釈迦様であり親鸞聖人なのです。

このお言葉の意味をお知りになりたい方はこちらの記事をご覧ください。

親鸞聖人の主著、国宝『教行信証』

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わか

静岡県の温暖な気候の中で育ちました。 学生時代、家ではほとんどの時間を机の前で過ごし、ノートに散文を書きためる日々でした。 人間関係に悩み、自分の存在価値を探していたとき、知り合いの先輩に紹介され、ひょんなことから仏教を学ぶようになりました。元々自分の心は見つめていた方だと自負しているのですが、それよりももっと深い自分自身の心を教えられた仏教に感動し、それから続けて学んでいます。
 
   

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