カルピスの生みの親が尊敬していた親鸞聖人|肉食妻帯の理由とは?
夏になると飲みたくなる乳酸菌飲料といえばカルピスですね。
カルピスは1919年に誕生した商品ですから、今年でちょうど100周年を迎えます。
実は、そのカルピスと仏教には深いつながりがあるのです。
カルピスの名前の由来
カルピスという名前は、もとは仏教用語からきています。
「カル」はカルシウム、「ピス」はサンスクリット語のサルピスからとったのだとか。
仏教では、牛乳などを生成する過程における五段階の味を乳・酪・生酥・熟酥(サルピス)・醍醐(サルピルマンダ)と説かれています。
この中で最上級の味は醍醐(サルピルマンダ)ですが、言いやすさを考慮し、次の位である「サルピス」からとって、「カルピス」と名付けられたそうです。
なぜ、仏教用語が使われているのでしょうか。
カルピスの生みの親は三島海運さんという人でした。
大阪のある寺の長男として生まれた三島海運さんは、幼いころから仏教を学んでいたのです。
その後、知人の勧めで中国に渡り、中国から仕事で訪れたモンゴルでカルピスの原点となる飲み物と出会います。
日本でも健康で美味しい飲み物を提供したいとの思いから研究を重ね、ついに1919年、発売にこぎつけるのです。
商品には上記のとおり、仏教の言葉からカルピスという名前を付けました。
三島さんが貫いた精神
三島さんが生涯を通して貫いていたのは「国民利福」という精神でした。
「国民利福」とは、国家の利益となり、人々の幸福につながる事業を成すこと。
仏教では、相手の幸せを願って行動するままが自分の幸せにつながるという自利利他(じりりた)の精神が教えられています。
自利利他についてはこちらの記事をご覧ください。
人々に健康で幸せになってほしいという願いをいつも持っていたからこそ、カルピスも100年の間愛されてきたのですね。
肉食妻帯とは?
そんな三島さんは生涯、お釈迦さまと親鸞聖人を尊敬していたといいます。
親鸞聖人を尊敬していた理由の一つには、肉食妻帯(にくじきさいたい)を公然とされたということがあるそうです。
文豪・夏目漱石も肉食妻帯について次のように言及しています。
親鸞聖人に初めから非常な思想が有り、非常な力が有り、非常な強い根底の有る思想を持たなければあれ程の大改革は出来ない。
なぜ、肉食妻帯されたことがそれほどまでに注目されるのでしょうか。
肉食とは、文字通り、獣や魚などの肉を食べること、妻帯とは、結婚することです。
当時、仏教界では僧侶が肉を食べたり、結婚することは禁じられていました。
煩悩は幸せになるためには妨げになるものとされ、山に入って修行をし、煩悩を抑えることが本当の幸せになる道だと考えられていたからです。
僧侶は肉食妻帯してはいけないというのは、仏教界だけでなく、世間の常識でした。
ご修行の末に明らかになったこと
実際、親鸞聖人も最初は天台宗の僧侶となられ、比叡山で煩悩と闘うための厳しい修行をされていました。
親鸞聖人が比叡山でご修行されていた頃のエピソードついては、こちらの記事をご覧ください。
しかし、厳しい修行をなされた末、煩悩は決してなくせないことを知られたのです。
その後、山を下りられた親鸞聖人は、法然上人からすべての人が本当の幸福になれる道があることを聞かれました。
そして、ご自身も本当の幸せの身に救われることができたのです。
もし、山に入り厳しい修行をしなければ幸せになれないとするならば、救われるのはほんの一部の人で、ほとんどの人は救われないことになってしまいます。
しかし、本来仏教は、お釈迦さまがすべての人に向けて説かれた教えです。
すべての人が本当の幸せの身になれることを生涯かけて伝えていかれたのです。
お釈迦さまの教えられたことについてはこちらの記事をご覧ください。
肉食妻帯の理由
親鸞聖人は自ら肉食妻帯されることで、仏教界だけでなく、世間中からの非難を一身に受けながらも、すべての人が救われる世界があることを明らかにされました。
僧侶は肉食妻帯してはいけないことが常識となっていた世の中で、それを断行されるのは大変なことです。
それはひとえに、正しい教えを明らかにしたい、すべての人に幸せになってほしいという願いからおこされた行動でした。
だからこそ、現代でも親鸞聖人に惹かれる人は多いですし、身をもって明らかにされた教えは、現代にも着実に伝わっているのです。
こちらの記事では、肉食妻帯された理由についてより詳しく解説しています。
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