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AIが人間になるための条件は煩悩|「仏教の三毒」とは?

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カテゴリー:基礎から学ぶ仏教 タグ: 更新日:2019/04/10
 

NHKで放送されていた「マリオ AIのゆくえ」というドラマがあります。
舞台は近未来の東京。
AI「マリオ」を開発した科学者の時枝は、意識不明の重体に陥ったある警察官の脳にAI「マリオ」を埋め込むことに成功しました。

 

それによって肉体を得たマリオ。
時枝はマリオをより人間に近づけることに関心を持ち、人間のなんたるかを教えます。
天才的な頭脳は持っているマリオですが、人間になるには決定的に足りないものがありました。
時枝は、人間になるのに必要なのは「仏教の三毒」だと言います。

 

「仏教の三毒」とは一体なんでしょうか。
劇中では、これは煩悩であり、「貪・瞋・痴(とんじんち)」だと言われていました。

三毒の煩悩とは

煩悩は、文字通り私たちを煩わせ悩ませるものです。
煩悩が108あることはよく知られていますが、その中でも特に私たちを煩わせ、悩ませるものが貪欲(とんよく)瞋恚(しんに)愚痴(ぐち)の3つ。
これを「三毒の煩悩」と言われています。

 

この3つの煩悩を表した言葉が「仏教の三毒」であり、「貪・瞋・痴(とんじんち)」なのです。
では、それぞれどんな心なのでしょうか。

①貪欲

「貪欲」とは、欲のことです。
欲は、なければないで欲しい、あればあったでもっと欲しいという心。
その深さは底が知れないことから、深くなればなるほど色味を増す海の色、青色にたとえられます。

代表的な欲に5つあり、これを五欲(ごよく)と教えられます。

・食欲…食べたい、飲みたいという心
・財欲…1円でも多くお金が欲しいという心
・色欲…異性を求める心
・名誉欲…褒められたい、認められたい、嫌われたくないという心
・睡眠欲…眠たい、楽がしたいという心

日々を振り返ると、いつもこれらの心に振り回されていることに気づきます。
どの欲も、求めればどこまでもキリがありません。

②瞋恚

「瞋恚」とは怒りのことです。
欲が妨げられると出てくるのが怒りの心。
頭に血が上ると顔が真っ赤になることや、火にもたとえられることから、赤色で表されます。

 

怒りは無謀に始まり、後悔に終わる」とも言われますが、怒りの心のままに振る舞えば、周りも自分も傷つけて何一ついいことがありません。
何度もそれで後悔しているはずなのに、一度頭に血が上るとどうにも止められない、恐ろしい心です。

③愚痴

「愚痴」とは、ねたみやそねみ、うらみの心のことです
とても他人に言えないドロドロした心ですから、黒色にたとえられます。

愚痴は愚かでバカな心だと教えられています。
それは、因果の道理が分からない心だからです。

 

因果の道理については、こちらの記事をご覧ください。

因果の道理(因果応報)の本当の意味|因果応報とカルマとの関係は?

 

よい行いはよい結果、悪い行いは悪い結果、自分の運命は、すべて自分のした行為が引き起こす」と教えられるのが因果の道理です。
ですから、幸せな結果を受けている人がいるならそれはその人自身の努力によるもの。
また、自分に悪い結果が来たならば、それは自分自身が悪い行いをしていたことによるものです。

 

このことが分かれば、幸せな人を見てその努力を尊敬したり、悪い結果が来た時には自分の行いを反省し改める方向に心が向くでしょう。
ところが、実際にはどうでしょうか。
他人の幸せが面白くないと妬んだり、自分が不幸なのはあいつのせいだと恨んだりしてはいないでしょうか。
それこそ、因果の道理が分からない愚痴の心なのだよと教えられています。

人間は煩悩の塊

お釈迦さまの説かれた仏教をそのまま伝えられた親鸞聖人は、人間とはこういうものだと次のように書かれています。

「凡夫」というは、無明・煩悩われらが身にみちみちて、欲もおおく、瞋り腹だち、そねみねたむ心多く間なくして、臨終の一念に至るまで止まらず消えず絶えず。
(一念多念証文)

凡夫とは人間のことです。
人間は、欲や怒り、そねみねたみの愚痴の塊であり、この心は死ぬまで止まることも、消えることも、断ち切れることもない、と断言されています。

 

また、多くの人に読まれている『歎異抄』には「煩悩具足の凡夫」と説かれています。
具足には、「塊」とか「それでできている」という意味があり、「煩悩具足の凡夫」とは「煩悩でできているのが人間」ということなのです。

 

煩悩の塊であり、煩悩を取ったら何も残らない存在が人間。
だからこそドラマでは、人工知能が本物の人間になろうとした時に煩悩が必要だと描かれていたのでしょう。

 

仏教には、人間の心の姿が詳細に説かれています。
仏教を聞けば聞くほど自分の姿が知らされてくるので、仏教は真実を映す鏡、「法鏡(ほうきょう)」とも言われます。

 

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

AIの進化により幸せのカギである「人間とは何か」が問われる

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わか

静岡県の温暖な気候の中で育ちました。 学生時代、家ではほとんどの時間を机の前で過ごし、ノートに散文を書きためる日々でした。 人間関係に悩み、自分の存在価値を探していたとき、知り合いの先輩に紹介され、ひょんなことから仏教を学ぶようになりました。元々自分の心は見つめていた方だと自負しているのですが、それよりももっと深い自分自身の心を教えられた仏教に感動し、それから続けて学んでいます。
 
   

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