科学の進歩で幸せになれたのか?|ブッダが教えるAI時代に大切な1つのこと(前編)
年の初め、今年はどんな1年になるだろうか、何か新しいことを初めてみようか……と、
ワクワクしている人もあるでしょう。
新時代を迎えようとする今、関心が高まっているのが「AI(人工知能)」です。
近頃、テレビや新聞でもよく取り上げられていますね。
驚異的なスピードで進歩し、人々の生活を便利にしていくAIですが、それによって私たち人類は、かつてない問題に直面しているともいわれます。
そんな変化の激しい時代にこそ、2600年前から変わらぬお釈迦さまの教法がますます光を放つのです。
どういうことでしょうか。
すでにAIは身近にあふれている
「AI(人工知能)」とは、人間の脳のように自ら学習して考え、問題を解決することができる機械の機能です。
そう聞くと、なんだか難しく感じるし、自分とは関係なさそう……と思うかもしれません。
しかし実は、すでに私たちの日常にAIは浸透しつつあります。
例えば、スマートフォンに話しかけるだけで、指で操作しなくても電話をかけたり、メールを打てたりする。
話し相手がなくて寂しい時も、スマホが会話につきあってくれます。
お店に入れば、ヒト型ロボットが案内してくれる。
運転手がいなくても安全に走る自動運転のクルマももうすぐ実用化されるでしょう。
これら全て、AI技術の進歩発展によって、可能になったことばかりです。
建築や介護の現場では、AIを搭載したロボットが活躍し始めています。
人間が動かさなくても、四足歩行でビルの建設現場を見回るロボットも登場しました。
力仕事や危険な作業もお任せ。
人手不足も解消できそうです。
事務作業も、はるかに短時間で何倍もの仕事量をこなす。
人間みたいに文句も言わず、ミスを原因分析し、学習を重ね、確実に設定した目標を達成していくのが、AIのスゴイところです。
チェスや囲碁、将棋などで、AIが世界チャンピオンに勝利するようになりましたが、さらに最近は、人間にしかできないと思われていたことも次々と可能になってきています。
アメリカ・ニューヨークの競売に出品された1枚の男性の肖像画に、4800万円の値がついた。
落札価格以上に話題になったのは、その絵の作者。
幅広い年代の肖像画1万5000点を分析したAIが描いたものでした。
絵画だけではありません。
今や、小説や脚本を書いたり、作曲などの創作活動も、人間が作ったものと見分けがつかないほどレベルが高いそうです。
AIの進化はいいことずくめ?
こうした日進月歩のAI(人工知能)の向上により、私たちの生活はより便利になるのですから、いいことずくめのように思えます。
しかし、AI研究の世界的権威で、人類の未来に警鐘を鳴らすレイ・カーツワイル氏(アメリカ)は、
「技術的特異点(シンギュラリティ)」という概念を提唱し、2045年には、AIが人間の知能を超えると主張しています。
さらには、AI自身が人間の手を借りずとも、より優秀なAIを生み出せるようになり、そんなAIやロボットたちが、人間に取って代わって社会を動かすようになる。
ドラマや映画の世界が現実となるのは、遠い未来ではないともいわれます。
AIが問う、人間の存在理由
身近なことで考えてみても、能力、技術力の高いAIに、人間の仕事が奪われていくことに、若い世代を中心に不安が広がるのもうなずけます。
「仕事しなくていいなんて、けっこうなことじゃないか」と喜べるのは最初だけ。
暇を持て余すのみの毎日に、果たして私たちは耐えられるでしょうか。
「もう引退したから、仕事は関係ない」という世代でも「子や孫が命」という人はあるでしょう。
もし、AIが自分より上手に子守、孫守をしたなら、「おじいちゃん、おばあちゃんよりも、ロボットのほうがいい」なんて言われてしまうかもしれません。
しかも問題は、仕事を奪われることにとどまりません。
私たちの多くは、「労働に価値がある」「仕事こそ人生」と信じてきた。
そういう価値観や常識をAIは崩壊させてしまうのです。
AI搭載のロボットが、人間と変わらない、あるいはそれ以上に、目覚ましい仕事をし、社会貢献をし、芸術活動までするようになると、人間は、いてもいなくてもよくなる。
むしろ、いないほうがスムーズで、争いも犯罪も環境破壊もなく、地球や社会の利益とになるー。
科学者が予見したように、人間が「捨てられる」時代が到来するかもしれません。
こうなると、
「人が生きる意味って何?」
「何のために人間は存在するのか?」
という議論が出てくるのも当然でしょう。
私たちは今、こういう根本的な問いをAIから突きつけられているのです。
果たして、これに答え切れる人はあるのでしょうか?
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