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悔いのない人生の選択をするには|仏教で教えられる人生のゴール(後編)

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カテゴリー:基礎から学ぶ仏教 タグ: 更新日:2023/09/25
 


前章で、親鸞聖人は、苦悩の根元は生きる目的の分からぬ「無明の闇」であると教えられていることを明らかにしました。
その闇の心がハッキリと晴れることがあるのだ、と聖人は教えられています。

不可思議な弥陀の誓願

人はなぜ生きるか。
この問いにもだえ苦しまれた親鸞聖人は、生きる目的が分からぬ闇の心が晴れた!と仰っています。
 
それは、阿弥陀仏という仏さまのお力によってであったと、その喜びを著書の至るところに書き記されています。
そして、ご自身だけでなくすべての人に“この無明の闇が破れ、生まれてきてよかった、生きてきてよかった、人生の大目的果たしたぞ!と踊躍歓喜する決勝点がある”と教えられているのです。
 
有名な『歎異抄』第一章には、次のように仰っています。

弥陀の誓願不思議に助けられまいらせて往生をば遂ぐるなり」と信じて「念仏申さん」と思いたつ心のおこるとき、すなわち摂取不捨の利益にあずけしめたまうなり。

“すべての衆生を救う”不思議な阿弥陀如来の誓願の力によって救われ、疑いなく弥陀の浄土へ往く身となり、念仏称えようと思いたつ心のおこるとき、摂め取って捨てられぬ絶対の幸福に生かされるのである
 
「弥陀の誓願」とは、阿弥陀仏という仏のお約束のことです。
阿弥陀仏とは、大宇宙に無数にまします諸仏方の先生の仏さまです。
どこから来て、どこへ行くのか。何のために生まれ、生きているのか。
肝心のことが何も分からぬまま、またしても迷い苦しみの闇に沈まんとしている私たちを、本師本仏の阿弥陀仏は何とか助けてやりたいと大慈悲心をおこされた。
 
そして、すべての人の苦悩の元凶である無明の闇を破り、必ず摂取不捨の利益(絶対の幸福)に救うと約束なされたのです。
これを阿弥陀仏の誓願、または本願といわれます。
それは私たち人間の想像もつかぬことですから、親鸞聖人は、「弥陀の誓願不思議」と言われています。
その不思議な弥陀の誓願に救われ、無明の闇が破られたことを親鸞聖人は、「弥陀の誓願不思議に助けられまいらせて」と言われたのです。

救われたらどうなる?水際立った救い

では、弥陀に救われ無明の闇が破れたらどうなるか。
疑いなく弥陀の浄土へ往く身となります。

いつ死んでも、往生極楽間違いなしと心がハッキリいたします。
一息一息が摂め取って捨てられぬ絶対の幸福に生かされるのです。
 
しかし親鸞聖人も、阿弥陀仏の誓願を明師・法然上人から聞かせていただいても、救い摂られるまでは「本当だろうか」「そんなことあるのだろうか」との疑いに苦しまれました。
 
親鸞聖人は無明の闇を晴らしたいと、九歳から二十年間、比叡山(天台宗)でご修行なされましたが、一向に解決のメドがつかず、堂々巡り、流転輪廻の求道に行き詰まられました。
比叡山の教えに絶望された聖人は、下山後、京都で法然上人と邂逅、無明の迷闇を破り、絶対の幸福に救うと誓われた弥陀の本願を聞かれ、雨の日も風の日も、火のつくような聞法求道をなされました。
それでもしかし、闇は破れず、親鸞聖人は師の法然上人に、弥陀の本願に対する疑い(疑情)を告白されています。
 
親鸞聖人「阿弥陀仏の一声で、晴れて満足できると仰せられますが、聞いても聞いても、その一声が聞けません。親鸞の心は晴れません。仏法聞いている時も、思ってはならないことが思われ、考えてはならぬことが浮かびます。一向専念無量寿仏どころか、雲のごとく、疑いが湧き上がってまいります。こんな心のままで、臨終を迎えるのかと思えば、ただ恐ろしいばかりでございます」
阿弥陀仏のお約束に対する疑いは、なくなるどころか、ますます湧き上がり七転八倒されたのです。
 
その聖人に、法然上人は厳しく仰る。
法然上人
「親鸞よ。形の上で捨てたつもりではだめじゃ。無始より迷わせ続けた自力我慢の親玉は、そんな生ぬるい聞き方では、聞かないぞ!」
 
親鸞聖人
「親鸞の心は、ただ暗い……、それだけでございます。暗さも分からぬ、真っ暗がりでございます」
 
果たして、聖人の疑情(無明の闇)は、南無阿弥陀仏の宝を賜った一念に破れ、明信仏智、破闇満願、極楽往生間違いない身にハッキリ救われられたのです。

〝弥陀の本願まこと〟疑い晴れた世界

私たちが南無阿弥陀仏を賜る、何億分の一秒よりも速い時間の極まりを一念といいます。
その一念に、疑情が破れるのだと蓮如上人は『御文章』に、こう教えられています。

この大功徳を一念に弥陀をたのみ申す我等衆生に廻向しまします故に、過去・未来・現在の三世の業障一時に罪消えて、正定聚の位また等正覚の位なんどに定まるものなり

南無阿弥陀仏の大功徳を、弥陀より賜る一念に、過去・現在・未来の三世を流転させる元凶である疑情が晴れわたり、いつ死んでも往生成仏間違いない正定聚・等正覚の位にハッキリ定まるのである
 

一念発起・入正定之聚

あっという間もない一念に、いつ死んでも極楽参り間違いない、正定聚不退転の身〈絶対の幸福〉になるのである
 
友人に貸した大金が返った時に、“彼の誓約は本当だった”と、それまでの疑いが晴れるように、「助ける」という約束に対する疑いは、「助かった時」に破れます。
「摂取不捨の利益(絶対の幸福)に助ける」という弥陀の本願に対する疑い(疑情)は、摂取不捨の利益を受け取った一念に消えてなくなります。
 
“必ず浄土へ往ける”と大満足の身にさせていただけますから、「弥陀の誓願まことだった」とハッキリするのです。
弥陀に救われた驚きと歓喜を、親鸞聖人は『教行信証』冒頭にこう記されています。

誠なるかなや、摂取不捨の真言、超世希有の正法、聞思して遅慮することなかれ
(教行信証総序)

「誠なるかなや、摂取不捨の真言、超世希有の正法」とは、誠だった、本当だった、弥陀の本願ウソではなかったということです。
「摂取不捨の真言」
「超世希有の正法」
とは、ともに摂取不捨(絶対の幸福に救う)の阿弥陀仏の本願のことです。

「逃げまわる者を必ず救う」

「摂取」の「摂」は、逃げ回る者を追いかけて捕らえるという意味があります。
欲に引きずられて、仏法に背を向け、逃げ回っている私を、弥陀は追いかけ、追い詰め、救い摂るということです。
体は聞法の場に座っていても、心は、家へ会社へ恋人へと娑婆じゅう飛び回り、仏法を聞く気がありません。
そんな私を逃がしてなるかと弥陀は、逃げ場を封じ、ついに一念で絶対の幸福に摂取して、いつ死んでも往生極楽間違いない、大安心の身にしてくださるのです。
絶対に捨てられない幸せになれますから“不捨”です。
 
仏や神にすがり、信ずる者を救うというのが、一般の宗教ですが、信ずる心も念ずる心もなく、背を向けて逃げ回っている者を、追いかけて救い摂ってくだされるのは、弥陀一仏だけですから、
「超世希有の正法」
とも言われます。
世の常識を超えた、二つとない大本願なのです。
『正信偈』には、
「阿弥陀仏は、無上殊勝の願を建立し、希有の大弘誓を超発された」
と讃嘆されています。
 
何もかも当てにならぬ、空事・たわごとばかりの世に、たった一つの真実があるぞ、この弥陀の本願を聞き抜き、本当の幸せになることこそ人生の目的なのだと、親鸞聖人は教示されているのです。
 
では、どうすれば摂取不捨の利益を頂くことができるのか。
聖人は、「聞思して遅慮することなかれ」、聞く一つで救われるから、手遅れにならぬよう、どうか命のあるうちに、皆さん早く聞き抜いてくださいよと、必死に勧められています。
 
弥陀の救いは断じてぼんやりしたものではありません。
火に触ったようにハッキリいたします。
ハッキリ救われるまで、急ぎ聞き求めてください。必ず広大無辺な世界がひらかれます。

まとめ

◎ 苦悩の元凶である無明の闇は、すべての仏の本師本仏である阿弥陀仏の本願力によって平生の一念に明らかにぶち破られます。
◎ その身に救われるには、弥陀の本願を聞く一つです。

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あさだ よしあき

ブログ作成のお手伝いをしています「あさだよしあき」です。 東京大学在学中、稲盛和夫さんの本をきっかけに、仏教を学ぶようになりました。 20年以上学んできたことを、年間200回以上、仏教講座でわかりやすく伝えています。
 
   

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