油揚げと報恩講の関係|浄土真宗が盛んな地域は油揚げ消費量が多い?
みなさんは油揚げをどれくらい食べていらっしゃいますか。
1世帯当たりの油揚げ消費量が日本一なのは福井県です。
1世帯当たりの年間購入額は6000円。これは全国平均の約2倍、2位の4000円と比べても圧倒的な消費量なのです。
特に福井市は2019年時点の調査で57年連続トップを守り続けています。
油揚げ丼、油揚げカレー、油揚げステーキ、油揚げ炊き込みご飯のようなご当地メニューも色々あります。
ほんの少し他の都道府県より多くて1位ではなく、福井県はなぜ油揚げの消費量が圧倒的なのでしょうか。
精進料理と油揚げ
福井県には浄土真宗の8代目蓮如上人が開いた吉崎御坊や、道元禅師が開いた永平寺など大きな寺があります。
特に、浄土真宗の多い地域では、毎年秋や冬にとり行われる「報恩講」という行事で必ず油揚げ料理が出されます。
報恩講とは親鸞聖人が亡くなられた日を中心に行われる浄土真宗最大の行事で、多くの人が寺に集まり、正信偈を読んだり法話を聞いたり食事をしたりして、親鸞聖人のお徳をしのびます。
この食事のことを「おとき」と言います。
寺で出される料理ですから精進料理のため、殺生をした肉は出せません。
ですから野菜の煮物や和え物などが多く、中でも昔は高級品だった油揚げがメイン料理に使われるのです。
福井県以外にも、油揚げの消費量は寺院数と正の相関があり、寺院が多いところでは油揚げの消費量も多くなる傾向にあります。
例に漏れず、親鸞聖人の多い石川県や富山県、滋賀県なども油揚げの消費量が全国平均よりも多いです。
報恩講はどんな行事?
多くの人が集まる報恩講とはどのような行事なのでしょうか。
地域によっては「ほんこさん」とも呼ばれる報恩講は、親鸞聖人のご恩に報いるため聖人のご命日の前後に開かれます。
元は浄土真宗の3代目覚如上人が始められた行事で、昔は7日間開かれたため「お七夜」「七昼夜」などとも言われています。
毎年、このような大きな行事が行われる目的はみんなで集まって食事をして団結を深めるためではなく、説法を聞き、生きている今、阿弥陀仏の本願に救われることが目的でした。
「報恩講」は「恩に報いる集まり」、親鸞聖人の御恩に報いる集まりです。親の喜ぶことをすることが親孝行になるように、親鸞聖人がお喜びになることをしなければ親鸞聖人の御恩に報いることはできません。
親鸞聖人の喜ばれることは何か。親鸞聖人は生涯、阿弥陀仏の本願一つ説いていかれました。ですから、親鸞聖人がお喜びになることは、私たちが阿弥陀仏の本願を聞き、救われることなのです。それで、報恩講では、皆で集まって、阿弥陀仏の本願を聞いたのでした。
「阿弥陀仏の本願」を「他力本願」ともいいます。「他力本願」という言葉は聞いたことがある方も多いと思います。「他力本願」とは「阿弥陀仏の本願」のことです。
他力本願について、以下の記事で解説しています。
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