海外のお寺は今でも女人禁制?なんで日本は自由に出入りできるの?
日本ではお寺に男性も女性も入って、観光したり話を聞くのは当たり前の光景です。
京都に行けばたくさんの観光客が清水寺や知恩院などに足を運んでいます。
しかしこの習慣はどこの国でも通用するわけではなく、国や場所によっては今も女人禁制のお寺があります。
なぜ海外では女人禁制のお寺があり、日本のお寺は女人禁制ではないのでしょうか。
海外のお寺事情
海外でのお寺の女人禁制事情について、例えばインドでは最近このような事件がありました。
インド南部にサバリマラ寺院というお寺があります。
大きなお寺で、4月および11月から1月にかけての例祭の期間のみ一般公開され、この期間は300万人から400万人の巡礼者が押し寄せます。
こちらが公開期間中のサバリマラ寺院の様子ですが、見て分かる通り、参詣者のほとんどは男性です。
この寺は完全な女人禁制ではなく、10歳から50歳の女性は入ってはいけないことになっていました。
2018年10月17日に女人禁制を解除して、すべての女性が参詣してもいいことになります。
そのために多くの女性が参詣しようとして、サバリマラ寺院まで行ったのですが、解除に反対する人たちが大勢集まり、結局、女性で参詣できた人は誰一人ありませんでした。
(参考:女性の参拝解禁、信者ら数千人が妨害 警察と衝突 インド)
このように今でも海外では女人禁制の制度があったり、解禁されても伝統を守ろうとする人たちがいます。
また、そこまで行かなくても、タイでは女性が寺院に観光に行くときには露出の少ない格好でなければならず、真夏の暑い時期でもタンクトップや短パン、ミニスカートは規制されていて、寺院によっては入れてもらえなかったり、ズボンの貸出をしているところもあります。
日本に住む私たちは違和感をおぼえるかもしれませんが、このような風習はかつての日本にもありました。
仏教で女人禁制が生まれた理由
そもそも仏教の中に女人禁制が生まれたのは、煩悩を抑え、煩悩を絶とうと山にこもって修行する男性修行者には、女性に対する欲を抑えるための厳しい戒律がありました。
しかし如何に戒律があっても、女性を見れば欲の煩悩が湧き出てきてしまいます。
そこでそもそも女性と交わらないようにすれば、欲も出てこないだろうということで、男性が修行のしやすい環境を作るためにお寺には女性を入れないようにしたのです。
明治時代に入りますと、欧米列強と比較して女人禁制のような男女差別をする風習は近代国家として恥ずかしいことだという意見から、女人禁制が禁止されました。
このため、現代の日本のお寺は女人禁制ではなくなっています。
肉食妻帯された親鸞聖人
僧侶は女人禁制が当たり前だった時代に、真っ向から反対の姿勢をとられた方がありました。
浄土真宗をひらかれた親鸞聖人です。
親鸞聖人は、男も女も関係なく、すべての人がありのままの姿で救われる阿弥陀仏の本願を明らかにするために、公然と肉食妻帯をされたことは有名です。
今では僧侶が結婚するのは普通のことですが、これは親鸞聖人が公然と肉食妻帯されたことから始まったことです。
肉食とは殺生をしたものを食べること。妻帯とは結婚することです。
親鸞聖人の当時の僧侶といえば、肉を食べず妻を持たないのが当たり前でした。
そんな時代に公然と肉食妻帯をすれば、上のインドの記事のような批判以上のことが沸き起こるのは十分予想できたことですが、それでも親鸞聖人はすべての人が救われる真実の仏法を明らかにするために、公然と肉食妻帯を断行されたのです。
肉食妻帯についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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