貴乃花親方の「不退転」の決意|不退転とは元々仏教から来た言葉
平成30年9月末に元・横綱の貴乃花親方が日本相撲協会に引退届を提出したことが新聞各社で報じられました。
25日に提出し不備があったため保留となっていた引退届を26日に再度提出したことから、記事の見出しには「不退転の決意」という言葉で表されていました。
「不退転」とは「退転しない」ということで、「自分で決めたことを覆さないこと、信念を持って屈しないこと」を表す言葉で、元は仏教から出た言葉です。
貴乃花親方とは
貴乃花親方と言えば、平成初期に「若貴フィーバー」で一大相撲ブームを起こして有名になり、平成5年に20歳で大関、翌年に横綱となって幕内最高優勝22回を納めて平成15年に30歳で引退しました。
ケガをしながら出場して22回目の優勝を果たしたとき、観戦に訪れていた小泉純一郎元首相が表彰式で、内閣総理大臣杯を直接手渡したときの「痛みに耐えてよく頑張った!感動した!おめでとう!」は流行語になりました。
引退後は親方となり、相撲協会に関わって大きな話題を呼ぶこともしばしばありましたが、今回の引退会見では日本相撲協会が圧力をかけてきたと話しています。
日本相撲協会を相手取った貴乃花の決意を「不退転」と表しているのでしょう。
不退転とは
この「不退転」という言葉は現代では「決して屈しない」という意味で使われていますが、元々は仏教で使われる言葉です。
大無量寿経というお経の中で、現在生きているときに、阿弥陀仏のお力によって絶対の幸福になったことを「不退転に住す」と説かれています。
詳しくは↓の“不退転の覚悟”はどれほど揺るがないのか|仏教の不退転の意味(中級)をご覧ください。
絶対の幸福とは絶対に変わらない、崩れない幸福のことです。
何者も妨げることのできない幸福であるから歎異抄には「無碍の一道」と表されています。
今日、私達の使う言葉の中に、仏教を発祥とする言葉が多いのは、日本人の心に深く仏教が根付いている証跡(しょうせき)ではないでしょうか。
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