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本当のお釈迦様の教えは何か?|大原問答の大法論

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カテゴリー:基礎から学ぶ仏教 タグ: 更新日:2025/05/03
 


先日「大原問答」の舞台となった勝林院が改修されました。
 
大原問答とは親鸞聖人の先生の法然上人と、天台宗や真言宗などの聖道仏教(しょうどうぶっきょう)の学者たちとの間で行われた法論のことです。
法論とは、仏法上の争いのことで、お経のご文を根拠にして、どちらが正しいかを論争することです。
 
仏法者というと何にでも寛容なイメージがありますので、仏法者どうしで争うと聞くと意外に思う方もあるかもしれませんが、お釈迦様の正しい教えを明らかにするための法論はいつの時代も行われており、その中でも大原問答は今日までその名を残す大法論です。
 
どのようなことがあって仏法者どうしが争うのでしょうか。

法論の理由

仏教には色々な宗派があります。
お釈迦様のご説法は七千余巻の膨大なお経として残っていますが、膨大であるが故にどれがお釈迦様の本心が説かれているお経(出世本懐経:しゅっせほんがいきょう)なのか、意見が分かれます。
そしてどのお経を出世本懐経と考えるかによって色々な宗派が生まれました。
 
『華厳経』が釈迦の本心だというのが華厳宗であり、いや『大日経』こそ釈迦の正意だと考えているのが真言宗です。
法相宗では『解深密経』だと言い、天台宗や日蓮宗では『法華経』と主張します。
また、禅宗のように『涅槃経』などを用いながら、特に所依(よりどころ)の経典を立てないものもあります。
親鸞聖人は、

それ真実の教を顕さば、すなわち『大無量寿経』これなり(教行信証)

と、『大無量寿経』こそが、お釈迦様の出世本懐経だと断定なされています。
 
果たして、真実の経は何か。
仏法者にとっては捨ててはおけぬ問題であり、この問題を解決するためにお互いが意見をぶつけ合うのが法論です。

大原問答とは

親鸞聖人の師・法然上人は、歴史に残る大法論をなされています。
場所は京都大原の勝林院。「大原問答」と言われます。
どのような法論であったのでしょうか。
 
法然上人の伝記には、「聖道門(しょうどうもん)と浄土門(じょうどもん)、いずれが真実か。日本国中の学者が集まり、火花を散らしての問答」とあります。
 
仏教を大きく分けると、聖道門の仏教と、浄土門の仏教の二つになります。
聖道仏教は自力の修行で仏になろうとする教えで、天台宗、真言宗、禅宗などを指します。
これに対し、阿弥陀如来の本願以外に我々の救われる道はない、と教えるのが浄土仏教です。
 
大原問答では聖道門側は、比叡山、高野山、京都、奈良の名立たる僧侶三百八十余人が論陣を張り、それらの弟子僧二千余人が勝林院を埋め尽くしたといいます。
対する浄土門側は、法然上人ただお一人。身の回りのお世話をする弟子が、わずかに同行しただけでした。
「もし、お師匠さまが一言でも詰まられたら……」
と、ガタガタ震える弟子たちに、上人はニッコリほほえまれ、
「この法然は幸せ者じゃ。今日一日の問答で、天下の学者たちを弟子にできるとは。弥陀の本願を明らかにする、またとない好機だ」
と仰ったといいます。
四十三歳の時に、阿弥陀如来の本願によって救われた法然上人は、大自信にあふれていました。
 
まず、聖道門側から切りだす。
「浄土門が、聖道門より優れているとは、どういうことか」
お釈迦様の教えに優劣はないが、仏法は何のために説かれたものか。衆生の迷いを転じて、仏覚に至らすためである。衆生を救う点において、浄土門のほうが優れておる
二千余の学僧がどよめく。
「これは聞き捨てならぬことを」
 
法然上人は、静かに答えられた。
聖道門は、人を選ぶではないか。経典を学ぶ知恵のない者、修行に耐える精神力のない者は求められない。欲や怒りのおさまらぬ者は、救われないということだ」
「いかにも……」
「さらに、厳しい戒律がある。完全に実行できる人はどれだけあるのか。大衆のほとんどは、救われないではないか
「………」
「しかし、浄土の法門は違う。欲のやまぬ者も来い、愚者でも智者でも、善人悪人、男も女も、全く差別がない。平等に救われるのだ。なぜならば、阿弥陀如来が、すべての人を、必ず救い摂ると、本願を建てておられるからじゃ。
しかも、末法の今日、聖道の諸教で救われる者は一人もないのだ」
「何を、たわけたことを」
「末法の今日、自力の修行では一人もさとりを得る者はないと、釈尊は説かれている。
これに対し、『大無量寿経』に説かれている弥陀の本願は、いつの時代になっても、始終変わらず、一切の人々を救うと説かれている。されば、すべての人の救われる道はただ一つ、浄土の一門のみであることが明らかではないか」
「……しかし、阿弥陀如来以外の仏や菩薩に向くなとは、言い過ぎではないか」
「釈尊は、『大無量寿経』に、一向専念無量寿仏と説かれている。これは、あらゆる諸仏、菩薩、諸神を捨てて、一向に専ら、阿弥陀仏を念ぜよ、ということである」
「ううむ……」
問答は一昼夜に及びましたが、法然上人は、いかなる難問にも、よどみなく答えられ、すべての学者を論破されたのです。
聖道門の学者たちは、心から法然上人の高徳に伏し、「智恵第一の法然房」「勢至菩薩の化身」とたたえたといいます。
阿弥陀如来の本願の素晴らしさを知らされた大衆は、異口同音に念仏を称え、三日三夜、その声が山野にこだましたといわれます。
法然上人、五十四歳の出来事でした。
 
これが大原問答ですが、こうして法然上人が明らかにされた阿弥陀如来の本願とはどういうことか。
こちらの記事で解説しています。

「他力本願」の誤解と本当の意味|「他人まかせ」は正しい意味か

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あさだ よしあき

ブログ作成のお手伝いをしています「あさだよしあき」です。 東京大学在学中、稲盛和夫さんの本をきっかけに、仏教を学ぶようになりました。 20年以上学んできたことを、年間200回以上、仏教講座でわかりやすく伝えています。
 
   

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