無尽蔵とはどういう意味?|無限の功徳を持つ仏教
1月11日にテレビ朝日系列で毎週平日放送中の「グッドモーニング」の中の「ことば検定」で林修先生が「無尽蔵(むじんぞう)」について解説していました。
(問題)無尽蔵の由来は?
1、仏の教え
2、秦の始皇帝
3、右心室と…
答えは、1の「仏の教え」です。
「無尽蔵」とは「いくら取ってもなくならないこと」という意味ですが、元々は無限の功徳がある仏の教えを、尽きることが無い蔵に例えた言葉です。
その無尽蔵の意味がなぜ「いくら取ってもなくならない」になったのでしょうか。
無尽蔵とは
「無尽蔵」の言葉が最初に出てくるのは中国の隋の時代に慧遠(えおん)という僧侶が書いた「大乗義章(だいじょうぎしょう)」という書物にある
「徳広難窮。名為無尽。無尽之徳包含曰蔵。」
(徳広くして窮まり難し。名づけて無尽と為す。無尽の徳、包含するを蔵と曰う)
という文章です。
ここで無限の功徳を持つ仏教のことを無尽蔵と言われています。
昔、中国の唐の時代に寺が金融機関の役割を果たしていたことがありました。
昔の寺には集まったお金を銀行のように、飢饉のときの救済や必要なときの資金提供に貸し出して利息を取り、寺の修繕費用に充てていたことがあったのです。
その寺の金融機関が「無尽蔵」と呼ばれたため、「無尽蔵」という言葉が世間に浸透し、いくら取っても無くならないという意味で使われるようになりました。
やがて日本でもこの仕組みが発展して「無尽講(むじんこう)」「頼母子講(たのもしこう)」と呼ばれる組織へと発展していきました。この組織を別に「無尽」と言います。
仏教の教えとは
無尽蔵とは元々、「仏教の教えには無限の功徳がある」ということから仏教を表す言葉ですが、仏教にはどのようなことが教えられているのでしょうか。
約2600年前、インドで活躍なされたお釈迦さまは、35歳で大宇宙最高の「仏」というさとりを開かれ、80歳でお亡くなりになるまでの45年間、教えを説いていかれました。
お釈迦さまが45年間説かれた教えは、7000巻余りの「お経」に書き残されています。
仏教に何が説かれているのかを知るには、この7000巻余りのお経を全部読んで、しかも正しく理解しなければなりません。
鎌倉時代に活躍された親鸞聖人は、7000巻余りのお経を何回も読み破られて、「お釈迦さまの説かれたことはたった一つだ」と、断言されています。
「如来所以興出世 唯説弥陀本願海」(正信偈)
(如来世に興出したまう所以は 唯弥陀の本願海を説かんとなり)
「如来、世に興出したまう所以は」とは、釈迦如来がこの世にお生まれになって、仏教を説かれた目的(所以)は、ということ。
それはたった一つのことを説かれるためであったとの断言が、次の「唯説」です。
その唯一つのことが「弥陀の本願」です。
その広さ、深さはこの世で例えるなら「海」しかないので、本願海と言われています。
お釈迦さまが説かれたことは、弥陀の本願唯一つです。
弥陀の本願はどれだけ説いても説き尽くせない無限の功徳があります。
弥陀の本願のことを「他力本願」とも言われます。
他力本願についてはこちらの記事で解説しています。
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