お経ってなに?|お経は死んだ人のために書かれたものではありません
「お経」という言葉を聞いたことがない人はいないでしょう。
では、お経とは何でしょうか?と聞かれて、正しく答えられる人は少ないのではないでしょうか。
12月4日にNHKで放送された「チコちゃんに叱られる!」の番組内で「お経ってなに?」という話題の放送がありました。
チコちゃんから「お経ってなに?」と尋ねられたナインティナインの岡村隆史さんは「亡くなった方、天国にいる方へのご挨拶」と答えましたが、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と言われてしまいました。
お経というと葬式や法事でお坊さんが読むのを聞いたことがあるのと、漢字ばかりで意味がわからないことから、「死んだ人に対して何か関係があるのかなあ」と思う人が多いようです。
実はお経は、死んだ人の為ではなく、生きている人に関係があるものなのです。
お経とは
お経は決して亡くなった人の為のものではないことは、お経の成り立ちを知ればわかります。
お経を説かれたのはお釈迦様です。
お釈迦さまは約2600年前のインドに王様の子どもとして生まれられました。
地位にも財産にも困ることがない身分でしたが、幼少の頃から人生を深く考えることが多く、すべての人が老いて病気になり死んでいく無常の世の中で変わらない幸福を求めて29歳で出家し、35歳で仏のさとりを開かれました。
そしてさとられた内容を私たちに説かれたものがお経です。
お経について詳しくはこちらをご覧ください。
ですからお釈迦さまがお経を説かれたのはその場に集まった人たちに向けてであって、死んだ人に向けて説かれたお経は1つもありません。
お経は亡くなった人の為でなく、生きている人に向けてのものなのです。
お経には何が説かれているのか
ではお経には何が説かれているのでしょうか。
お経には人生の目的が説かれています。
人生の目的とは、
- 何のために生まれてきたのか
- 何のために生きているのか
- なぜ苦しくても生きねばならないのか
ということです。
私たちが政治や経済、科学や医学、倫理・道徳、法律、芸術、スポーツなどにいそしみ、これらの発展に努力していますが、これらはみな、「よりよく生きる」ための営みです。
消費増税もエネルギー対策も介護制度も、通信回線の高速化も、新薬や医療器具を開発するのも、「どうすれば、より快適に、長く生きることができるか」の研究であり、努力でしょう。
私たちが「どんな人と結婚するか、それとも独身を貫くか」「転職か今の会社に残るか、」「マイホームか賃貸か」などに悩んでいるのもいずれも「生き方」「どう生きるか」の問題です。
これら「生きる手段」がなければ、生きてはゆけませんが、そこまで努力をして生きるのはなぜでしょうか。
「なんで生まれてきたのかなあ」
「生まれてこなければ、こんなに苦しまなくてもよかったのに」
と恨んでいる人さえあります。
それは、何のために人間に生まれ、生きているのか、人として生まれた目的は何か。
人生の目的が分からないからです。
「人間に生まれたのはこれ一つのためであった」と人生の目的を達成した時にこそ、「人間に生まれてきてよかった!」
という生命の大歓喜が起きるのです。
では、仏教で生きる目的はどのように教えられているのでしょうか。
こちらの記事で解説しています。
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