「はすっぱ」は蓮の葉っぱ|品のない言動と蓮との関係は?
7月は青少年の非行防止月ということで、それにちなんでテレビ朝日系列で毎週平日放送中の「グッドモーニング」の中の「ことば検定」で林修先生が「はすっぱ」という言葉について解説していました。
(問題)「はすっぱ」の由来は?
- たばこ
- 斜に構えた
- 蓮(はす)
答えは、3の「蓮(はす)」です。
「はすっぱ」というと軽薄な言動のことを言い、特に女性で品のない言動をしていたり、浮気がちな女性に対して「あの人ははすっぱな人だ」と言われます。
なぜ女性の言動に関する言葉の由来が「蓮」なのでしょうか。
はすっぱ=蓮っ葉
「はすっぱ」は漢字で書くと「蓮っ葉」と書きます。
昔はお盆の季節になると蓮の葉っぱにお供物を盛っており、その蓮の葉っぱを売る人を「蓮葉商い」とか「蓮の葉商い」と呼んでいました。
蓮の葉が売れるのはそのお盆の時期だけですから、蓮葉商いの方の商売期間はほんの一週間程度の短い間です。
そのため短期でしか役に立たないものを売ることを蓮の葉に関係なく「蓮葉商い」と呼ぶようになって、そのうち「蓮葉商い」というと「軽はずみ」「浮ついた」というイメージが出来あがりました。
そのような背景がある中で、大阪の問屋が客の接待(売色を含む)をさせるために女性を一時的に雇った際、その場限りの奉公をする女性の姿が「蓮葉商い」を連想させたため「蓮葉女」と呼ばれます。
「蓮葉女」になる女性は品がない言動をする女性が多かったことから、「蓮葉女」=「品のない女性」となり、そこから「女」が取れて、「はすっぱ」だけで品のない女性を指すようになりました。
蓮と仏教
お盆のときに蓮の葉っぱの上にお供物を盛る習慣は今も地域によっては残っているそうです。
お盆は仏教の行事ですが、そもそも蓮と仏教とはどのような関係があるのでしょうか。
よくお経の中に蓮の花のことが出てきます。
それは蓮の花は、仏教で教えられる「正しい信心」の特徴を表しているからです。
「信心」と聞くと、自分とは何の関係もないことだ、と思う人があるかもしれませんが、私たちは何かを信じなければ、一日たりとも生きてはいけません。
例えば、明日も生きていられると命を信じて生きています。
いつまでも元気でいられると、健康を信じています。
金や財産があるから安心だ、地位や名誉があるから大丈夫と信じる人も、それらの信心を持っているのです。
政治にしても各々の思想にしても、何かを信じなければ私たちは生きてはいけません。
神や仏を信じるだけが、信心ではありません。
その人その人で何を強く信じるかは違いますが、すべての人は何らかの信心を持って生きているのです。
そして私たちは、信じていたものに裏切られた時に、苦しみ悩みます。
病気で苦しむのは健康に裏切られたからであり、リストラで苦しむのは会社や仕事に裏切られたからです。
家庭悲劇が起こるのは、信じていた夫や妻に裏切られたり、親なら子供、子供なら親に裏切られたからです。
しかも、深く信じていればいるほど、裏切られた苦悩や悲しみ、怒りは大きくなります。
お釈迦さまは「やがて必ず裏切るものを信じて生きているから、苦しみ悩みが絶えないのだ。幸福になりたければ、絶対に裏切ることのない『正しい信心』を持ちなさいよ」と、教えられました。
その正しい信心とはどんなものかを、蓮の花の五つの特徴が表しているから、お経にはよく蓮の花が出てくるのです。
蓮の花の五つの特徴を「蓮華の五徳」といわれます。
蓮華の五徳についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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