仏教で蓮の花がよく出てくるのはどうしてでしょうか。仏教と蓮の関係について
仏教には蓮の花がよく出てきます。
仏教に関する絵には仏様が蓮の花の上に座られている様子が描かれていたり、仏像の下の台座が蓮の花だったりします。
仏教と蓮の花とはどのような関係があるのでしょうか。
(質問):仏教で蓮の花がよく出てくるのはどうしてでしょうか
(解答)
日本では、花といえば「サクラ」といわれます。
仏教で、花といえば「蓮の花」です。極楽の絵には、蓮の花が描かれています。
なぜ極楽に蓮の花が咲いているのでしょうか。
それは、阿弥陀経(あみだきょう)に説かれているからです。
池の中に蓮華あり、大きさ車輪の如し
(阿弥陀経)
極楽には蓮の華が咲いていると説かれています。また、仏様の像を見ますと、蓮の台(うてな)に立っておられます。
どうして蓮の花が咲いていると説かれているのでしょうか。
それは、蓮の花が、極楽へ生まれられる人の心の特徴を表しているからです。
それについて「蓮華の五徳(れんげのごとく)」で教えられています。
蓮華の五徳とは
蓮華の五徳とは、蓮の花の五つの特徴ということで、五つの特徴で極楽へ生まれられる人の心を説明されています。
1 淤泥不染の徳(おでいふぜんのとく)
2 一茎一花の徳(いっけいいっかのとく)
3 花果同時の徳(かかどうじのとく)
4 一花多果の徳(いっかたかのとく)
5 中虚外直の徳(ちゅうこげちょくのとく)
1 淤泥不染の徳(おでいふぜんのとく)
チューリップやヒマワリは、陸地に咲いています。
淤泥とは、淤も泥も泥田ということで、蓮の花は高原陸地に咲くのではなく、どろどろの泥田に咲きます。
しかし泥の中に咲いても、蓮の花は泥に染まらぬきれいな花を咲かせます。
2 一茎一花の徳(いっけいいっかのとく)
蓮の花は一つの茎に一つの花を咲かせます。
アサガオは、一つの茎にたくさんの花を咲かせます。
チューリップやヒマワリと同じように、蓮の花も、一つの茎に一つの花を咲かせます。
3 花果同時の徳(かかどうじのとく)
蓮の花は一度に開きます。そして、咲くと同時に実ができています。
サクラの花は、三分咲き、五分咲き、八分咲き、満開とだんだん開いていきますが、蓮の花はバサッと一度に開きます。
そして、開いた時には実ができています。
リンゴの花は、花が散ってからだんだん実ができて、大きくなります。
4 一花多果の徳(いっかたかのとく)
蓮の花は一つの花にたくさんの実をつけています。
リンゴの花は一つの花に一つの実をつけますが、蓮の花にはたくさんの実がついています。
5 中虚外直の徳(ちゅうこげちょくのとく)
蓮の花の茎の特徴です。茎はレンコンのように、中にいくつかの空洞があります。これが中虚ということです。
外直とはまっすぐということです。
アサガオのようにぐねぐねしているのではなく、チューリップのように茎はまっすぐです。
この蓮の花の五つの特徴から、それぞれ極楽へ生まれられる人の心を説明されています。
それぞれに大変深い内容ですので細かい説明はできませんが、極楽へ生まれられる人の心を、正しい信心といいます。
この正しい信心を教えられているのが親鸞聖人の書かれた「正信偈(しょうしんげ)」です。
正信偈とは、正しい信心の偈(うた)ということで、正しい信心を教えられています。
生きている時に正しい信心を獲た人は、極楽へ生まれられるので、極楽には蓮の花が咲いていて、極楽に生まれる人は蓮の台に忽然と生まれると説かれています。
これを「蓮華化生(れんげけしょう)」といいます。
では正しい信心とは何か。親鸞聖人は正信偈に詳しく教えられています。
まとめ
仏教でよく蓮の花が出てくるのは、阿弥陀経に極楽には蓮の花が咲いていると説かれるからです。
なぜ蓮の花なのかと言いますと、蓮の花の五つの特徴(蓮華の五徳)が正しい信心の特徴に合っているからです。
生きているときに正しい信心を得た人は、極楽の蓮の台に忽然と生まれると説かれています。
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