令和時代に大切な「和」の精神は聖徳太子から|十七条憲法に教えられる3つの宝
5月になり、時代は新元号「令和」に切り替わりました。
新しい時代の幕開けを喜ぶ声も多く聞こえます。
令和の「和」は十七条憲法から
この「令和」の由来が『万葉集』にあることは、元号が発表になった時に説明されていましたね。
この元号の発案者と言われる国文学者の中西進さんは、あるインタビューで令和の「和」から「和をもって貴しとなす」を思い浮かべると答えておられたそうです。
「和を以て貴しと為す」とは、聖徳太子によって制定された十七条憲法の中の一文「以和為貴」を書き下した言葉です。
「和」とは団結のことで、ここでは団結こそが素晴らしいと言われています。
この部分は、一般的には「和を以て貴しと為す」と読まれていますが、「和するを以て貴しと為す」と読むことができると聞いたことがあります。
「和」ではなく、あえて「和する」と読まれているのは、団結するための努力を表しているからです。
どんなに仲のいい人でも、一緒にいれば嫌なところの一つや二つ見えてくるもの。
ましてや、職場や地域のコミュニティなどは仲がいい人ばかりの集まりではありません。
いろいろと気の合わない部分も出てくるのではないでしょうか。
それでも、協力して物事を行うためには団結が不可欠です。
団結は最初からそこにあるものではなく、お互いの努力で作り上げていくもの、ということが「和するを以て貴しと為す」ということなのです。
聖徳太子が大切にされた3つの宝
十七条憲法には、これからの令和時代に大切なことが書かれていたのですね。
聖徳太子は仏教中心の国作りをされたことでも有名で、十七条憲法には次のような内容も書かれています。
「篤く三宝(さんぼう)を敬え。
三宝とは仏・法・僧となり、則(すなわ)ち、四生(ししょう)の終帰(しゅうき)、万国の極宗(ごくしゅう)なり。
何(いず)れの世、何(いず)れの人かこの法を貴ばざる」
この世には3つの宝がある。
それは仏さまであり、仏さまの説かれた教えであり、その教えを正しく伝える僧侶だ、と言われています。
なぜ、この3つを宝と言われたのでしょうか。
① 仏
まず、仏さまとはどういう方なのでしょう。
仏とはさとりの名前です。
一口にさとりといっても全部で52の位があり、その一番上のさとりは仏のさとり、仏覚(ぶっかく)と呼ばれます。
その仏覚までさとられた方こそ、仏さまなのです。
地球上で仏のさとりを開かれた方はお釈迦さまただお一人です。
お釈迦さまは、仏のさとりを開かれたことにより、大宇宙の真理を体得されました。
真理には、科学的真理や数学的真理などいろいろありますが、お釈迦さまが仏教に説かれた真理とは、「すべての人が幸せになれる心理」です。
それは仏のさとりを開かれた方しか分からないことですから、仏さまは宝だと言われているのです。
② 法
また、その仏さまの説かれた教えは「法」と言われます。
法とは三世十方を貫くものです。
三世とは、過去・現在・未来で、いつでもということ。
十方とは、東西南北とその間、さらに上下で、どこでもということ。
ですから、三世十方を貫くということは、いつでもどこでも変わらないということなのです。
お釈迦さまの説かれた仏教は、何千年前の人にも、現代に生きる人にも、何千年後の人にも共通することであり、どこの国の人にとっても変わらないことが教えられています。
まさに、例外なくすべての人を相手に説かれた教えなので、宝と言われるのでしょう。
③ 僧
その素晴らしい教えがあっても、間違いなく伝えてくださる方がなければ、幸せになることができません。
ですから、仏さまの説かれた教えを正しく伝えられる僧は宝と言われるのです。
仏教には、すべての人が幸せになるための道が教えられています。
それは今の時代に生きる私たちも例外ではありません。
ですから、2600年前に説かれた仏教は今日まで伝えられてきたのでしょう。
この令和時代まで3つの宝を守り続けてくださった聖徳太子のご恩を改めて感じますね。
聖徳太子について詳しくお知りになりたい方はこちらの記事をご覧ください。
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