お釈迦さまも「三密に気を付けよ」と仰った?|仏教でいう三密とは
最近は「三密に気を付けましょう」とよく言われます。
三密とは「密閉」「密集」「密接」の三つの「密」のことです。
集団感染(クラスター)を防ぐために政府が発表した言葉で、
- 換気の悪い《密閉》空間
- 多数が集まる《密集》場所
- 間近で会話や発声をする《密接》場面
を指します。
今まで耳にしたことがないため、最近になって作られた造語のようですが、実は2600年前にお釈迦さまも「三密に気を付けなさい」と仰っています。
「お釈迦さまの時代にも病気が流行ったのかなあ。当時は医療も発達していなかっただろうからなあ」と思われるかもしれません。
しかしお釈迦さまは集団感染を防ぐために「三密に気を付けよ」と仰ったのではありません。
たとえ病気が蔓延していなくても、気を付けるべき「三密」を教えられたのです。
仏教の「三密」とは
仏教では私たちの行いを3つに分けて教えられます。これを三業(さんごう)と言います。「業」とは行いのことです。
3つとは
- 身業(体の行い)
- 口業(口の行い)
- 意業(心の行い)
のことです。
この三業のことを仏教の中の密教という教えでは「三密」と言い
- 身密(体の行い)
- 口密(口の行い)
- 心密(心の行い)
と教えられるのです。
仏教で私たちの行いについて詳しく教えられるのは、私たちが受ける結果のすべては私たちの行いによって生み出されると教えられるからです。
これを因果の道理と言います。
因果の道理
因果の道理は仏教の根幹と言われる大事な教えです。
お釈迦さまが説かれたお経を貫く教えが因果の道理ですから、因果の道理が分かりませんと仏教は一切分かりません。
「因果」とは、「原因」と「結果」ということです。
どんな結果にも必ず原因がある。原因なしに起こる結果は絶対に無いということです。
世界中で新型コロナウイルスが蔓延したという大きな結果にも、胸ポケットに入れていたペンをどこかに落としてなくしてしまったという小さな結果にも、必ずそれ相当の原因があります。
「道理」とは「いつでもどこでも変わらないもの」をいいます。
法律や常識など、時代や地域によって変わるものを道理とは言いません。
いつでも、どこでも変わらないものだけを、仏教では道理といいます。
ですから「因果の道理」とは、どんな結果にも必ず原因がある、原因なしに起きる結果は絶対にない、これは、いつでもどこでも間違いのないことなんだよということです。
私たちの行いと運命の関係
因果の道理で教えられるのは、私たちの運命に関する原因と結果の関係です。
仏教では
「善因善果、悪因悪果、自因自果」
と教えられます。
「善因善果」とは、善い因(行為)は、善い果(幸福)を生み出すということです。
「悪因悪果」とは、悪い因(行為)は、悪い果(不幸)を引き起こすということです。
「自因自果」とは、よいのも悪いのも自分に現れる結果のすべてのは自分のまいた因(行為)によるということです。
自分の運命は他人によって決まったり、人智を超えた存在から与えられるものではなく、自分の行いによって生み出されると教えるのが仏教です。
その「行い」を3つに分けたのが三業であり、三密なのです。
- 身業(身密):体の行い
- 口業(口密):口の行い
- 意業(心密):心の行い
自分の運命は自分の行い(三業・三密)が生み出すから、「三密に気を付けていきなさいよ」と仏教では教えられているのです。
仏教では何が良い行いで、何が悪い行いか、詳しく教えられています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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