「修行体験」に「死の体験」|最近のお寺と仏教の目的
現代社会の代名詞の一つが「ストレス」。
多忙を極める現代社会の中でストレスを感じ、中には心身の不調を訴えて病気になってしまう人もいます。
その中で最近、お寺での修行体験がブームとなっているとNHKのテレビ番組「あしたも晴れ!人生レシピ『お寺で自分を見つめ直しませんか?』」で放送していました。
修行体験とは一体どのようなことをしているのでしょうか。
修行体験の内容は?
お寺の修行体験では、日常の喧騒を離れた山奥の寺で、数日間修行僧に混じりながら、掃除や座禅などの修行体験をして自分を見つめ直している内に、考え方に変化が起きてくるそうです。
とあるお寺では、食事はもちろん野菜中心の精進料理で、使ったお茶碗の汚れを落としたお湯も飲みほすこともあります。
朝5時に起きて就寝は22時。その間、座禅、写経、読経などをしたり、中には滝に打たれる滝行や、火渡りをすることもあります。
内容はお寺によって様々ですが、修行ですから「都会の喧騒を離れた大自然の中でゆっくりと…」とはいきません。
死の体験旅行?
また番組内では、東京都豊島区にある金剛院蓮華堂での「死の体験旅行」が紹介されていました。
「死の体験旅行」の参加者にはまず20枚のカードが配られ、大切なもの、失いたくないことなどを書いてもらいます。
そして主催者のお坊さんが物語を語る中で、20枚のカードを少しずつ捨てさせられます。
参加者は「家族」「友人」「仕事」など、自分が大事にしているものが書かれたカードを悩みながら捨てていきます。
最後にはその人にとっての最も大事なものが記されたカードが1枚残りますが、それも捨てさせられ「これが死です」と告げられます。
この「死の体験旅行」の参加者の方に感想を聞いてみると「日頃大事だと思っているものと、実際に大事なものが違った」「年老いてやがて死んでいくことの心細さがわかった」など、それぞれが今まで考えたことのない死を見つめることで新たに発見することがあったと話していました。
「なぜ生きる」を教えた仏教
修行体験も死の体験も、日頃「どうやって生きていくか」に奔走して、神経をすり減らしている自分を見つめて、「一体自分は何のために生きているのだろうか」「今大事に思っているもののために生きるのが、果たして本当に正しいのだろうか」「人生で本当に成すべきことは何か」を考えるきっかけになるのでしょう。
仏教を説かれたお釈迦さまは「なぜ生きる」を教えられた方です。
どれだけ汗水垂らして走っていても、目的地が無ければ走る苦労が無駄になるように、どれだけ一生懸命生きていても、生きる目的がなければ生きる苦労もまた無駄になります。
「どう生きる」に一生懸命な私たちに「『どう生きる』も大事だが、『なぜ生きる』はもっと大事ではないか」と「なぜ生きる」を教えられたのがお釈迦さまであり、仏教です。
その「なぜ生きる」を分かりやすく教えられた親鸞聖人の教えを話して、喜ばれているお寺があります。
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