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親鸞聖人と浄土真宗がやさしく分かる入門サイトです。 初めて学ぶ方も、イラスト入りの解説で分かりやすく学ぶことができます。

たくさんの仏教宗派がある中でなぜ「親鸞聖人の教え」なのでしょう?(前)

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カテゴリー:なるほど親鸞聖人 タグ: 更新日:2023/06/19
 


“親鸞聖人?うちは浄土真宗じゃないから関係ないのでは?”
“私の家は他宗ですが”
と思われる方もあるようでこんな問い合わせがしばしば寄せられます。
親鸞聖人の教えは他宗の人には関係ないのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。
聖人の教えはすべての人にとって最も大事なことを説かれているからです。
その教えを学びましょう。

親鸞聖人ほど「なぜ生きる」を明らかにされた方はない

世界に宗教多しといえどもなぜ私たちは「親鸞聖人」の教えを聞くのでしょう。
それは親鸞聖人ほど「なぜ生きる」を明らかにされた方はないからです。
「なぜ生きる」とはどういうことか。まずはこんな笑い話から。
 
**
先日考え事をしながらエレベーターに乗り閉まる扉をぼんやり眺めていた。しばらく待ってもエレベーターは動かない。“なぜ動かないんだろう”と思った瞬間エレベーターがしゃべりだした。
「行き先ボタンを押してください」
ハッと我に返る。
「えっと何階だっけ?そうだ今から五階で会議があるんだ」
**
 
エレベーターに乗るのはどこかに行くため。行く先を知らないと行き先ボタンは押せません。
乗ってから「さてどこへ行けばいい?」と言う人はないでしょう。
行く先が分からねば動きようがないのはエレベーターも同じです。
ところが人生はどうでしょう。
何のために生まれてきたのか?生きて何をするのか?
「このために」と全人類はハッキリしているでしょうか。ハッキリしていなければ生きようがないはずです。
 
そう聞くと
「生きることに意味なんてない」
「生きているだけで素晴らしい」
という声が聞こえてきそうです。
若くて健康な時は生きがいや目標、夢があれば生きられます
人類に貢献するような発見をしてノーベル賞を。金メダルを目指して毎日練習。お金をためて夢のマイホームを建てよう……等々。
ところが老いや病で体が不自由になり他人の世話を受けねばならなくなったらどうでしょう
食べ物に気を遣い、適度に運動し、頭を使ってボケ防止……など涙ぐましい努力をしていても、突然の事故でいつ介護が必要な体になるか分かりません。
 
ある男性は二十代で交通事故に遭い、脳に大きな損傷を負ってしまいました。
自分で体も顔も動かせず物も食べられず声も失った。二十四時間付きっきりで介護する母親はこう語っていました。
「あの事故の一瞬で息子の就職も結婚も全てが吹き飛びました」
不自由な体になれば夢や生きがいも失ってしまうのです。

「人命は地球より重い」は建前か?

寝たきりになり人工呼吸器をつながれ、絶望的な状況でも医者は懸命に治療します。
命は尊厳、人命は地球より重いといわれるからでしょう。
しかし終末期医療の現場も悩んでいます。
 
「治療しても延ばした命に意味を感じられない空虚感が医師にも看護師にも家族にも漂っている」
とはある医師の証言です。
「健康なうちは忙しさを理由に生きる意味を真面目に考えることもない。いざ考えずにおれなくなった時には自分の人生の決定権は家族や医療者に移っており、考える気力も衰え意識も朦朧としてきて、生きる意味も分からぬまま日常生活が送れても、ただ生きるだけの毎日になってしまう。生きる意味が分からないむなしさは放置され、無気力な高齢者はなおのこと体も弱り、施設しか行き場がなくなってしまう。そのような悲劇が繰り返されているのが現実です」
これからの日本はますますそういう人が増えてくるでしょう。
 
そんな身になってもなぜ生きねばならないのか。それでも人命は地球よりも重いのか。それともこれは単なる建前のフレーズなのでしょうか
いいえ違います。
人はこれ一つのために生きている
というものがあるのです。
これこそが最も大事な「生きる目的」です。
この「人生の目的」をハッキリ教えられたのが仏教であり、
そのお釈迦さまの教えをそのまま教えられた方が親鸞聖人なのです。

人生が「苦海」になるのは……

仏教を説かれたお釈迦さま
「人生は苦なり」と仰り親鸞聖人はそんな私たちの人生を海に例えて「難度海(苦海)」と言われています。
 
苦難・困難・災難の波が絶えずやってくる苦しい海が人生だということです。
苦難や災難が私にもいつやってくるか分かりません。
せめて無難に生きていたいと願うのは自分だけではないでしょう。
なぜ人生は難度海になるのか?
それは「煩悩具足」の私たちが「火宅無常の世界」に生きているからだと仏教では教えられます。
 
たとえ災難に遭わなくてもどんな生き方をしてもこの人生の本質は変わりません。
「煩悩」とは私たちを煩わせ悩ませ苦しませるものをいい、「具足」とはそれでできているということ。
雪だるまの雪が解けたら何もなくなるように私から煩悩を取ったら何も残らない。
100パーセント煩悩の塊が私人間というものです。
 
その煩悩の中で特に恐ろしいのが欲・怒り・愚痴(ウラミネタミ)の三つです。
なければないで欲しい、あればあるでなお欲しいのが「欲の心」。
この欲が逆巻くと仲のよかった兄弟姉妹でも骨肉の争いを引き起こすのです。
 
弁護士への相談で特に多いのは「遺産相続」と「離婚問題」だといわれます。
遺産相続は財産家だけの話ではありません。
「あらおかし喧嘩の種をかき集め」というように“子供の幸せのために”とせっせとかき集めたお金や土地が子供たちの「喧嘩の種」になる。
たとえネコの額ほどの土地でも手に入るか入らないかで目の色が変わるのは「欲」だからです。
 
血のつながった兄弟でも争うのですから、もともと他人同士の夫婦関係はもっと難しい。
幹部自衛官が「単身赴任先に戻る自分を妻が見送ってくれなかった」と腹を立て自宅に放火。
わが子八人のうち四人が犠牲になった痛ましい事件は「怒り」の心の成せる業でしょう。
 
なんとバカなことをと冷静な時は思いますが
「オレは絶対あんなことしない」
と言い切れる人があるでしょうか。
“あの人と同じ墓に入りたくない”
“この姑さえいなければなぁ”
こんなウラミツラミの「愚痴」の心もどうしようもありません。
 
煩悩具足の私たちが住む世界は「火宅無常」の不安な世界であると親鸞聖人はこう仰います。
「煩悩具足の凡夫・火宅無常の世界は万のこと皆もって空事・たわごと・真実あること無し」(歎異抄)
(火宅のような不安な世界に住む煩悩にまみれた人間のすべてはそらごとたわごとばかりで真実は一つもない)

まとめ

●煩悩具足の私たちの人生は苦難の絶えぬ「難度海」である。
●どんなに苦しくとも「これ一つのために生きねばならぬ」という「人生の目的」を教えられたのが仏教であり親鸞聖人である。

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あさだ よしあき

ブログ作成のお手伝いをしています「あさだよしあき」です。 東京大学在学中、稲盛和夫さんの本をきっかけに、仏教を学ぶようになりました。 20年以上学んできたことを、年間200回以上、仏教講座でわかりやすく伝えています。
 
   

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