ロボットの葬式をする時代|葬式をするのは誰のため?
家族が亡くなれば葬式を出して埋葬するのは古来からの習慣です。
近頃はペットの葬式やペット霊園もよく見られるようになってきました。
実はペットの埋葬は最近始まったものではなく、縄文時代の遺跡からも埋葬されたと思われる犬の骨が見つかっています。
しかもその骨には骨折と自然治癒痕があったことから、縄文人は犬をただの狩猟の道具ではなく、家族として仲間として大事に扱い、骨折をして狩りの役に立たなくなってもエサを与え続けていたと推測されます。
このように昔から人類とペットは仲良く共存し、ペットが死んだら悲しんで家族同様弔ってきました。
最近は犬や猫の葬式だけでなく、ロボット犬「AIBO(アイボ)」の葬式をする寺が出てきています。
なぜこのような葬式が行われるのでしょうか。
ロボット犬「AIBO(アイボ)」とは
ロボット犬の「AIBO(アイボ)」とは、ソニーが開発した人工知能を搭載した犬の形のロボットです。
初代は1999年に発売され、2006年に生産停止となりましたが、最近12年ぶりに新型の「AIBO」が発売され、話題になりました。
全身に仕込まれたセンサーにより飼い主の様子や部屋の状況などの情報を読み取り、ネットワークによりその情報を別のコンピューターに送って、そのコンピューターに搭載された人工知能により何をすべきかを判断して、人工知能の判断情報をAIBOに送ることで、さもAIBOが自分で考えて行動し、学習しているように振る舞うことができる、という高度な技術が組み込まれています。
そのため、飼い主が褒めた行動を繰り返したり、頻繁に叱ると暴れん坊になってしまったりと同じ「AIBO」でも飼い主によって性格に違いが出てきます。
実際の犬を飼っている人が「AIBO」と共同生活をさせたところ、犬は「AIBO」を格下の犬として仲間扱いする素振りを見せました。
なぜ「AIBO(アイボ)」の葬式をするの?
このように話題になった裏で、旧型の「AIBO」は発売から10年以上経っているため故障が多く、今回の新型「AIBO」を見た旧型の「AIBO」を持っている人が、故障してそのままになっていた「AIBO」を修理してほしいと相談するケースが増えてきたそうです。
しかし既にメーカーにも部品はないため、別の「AIBO」の部品を臓器移植のように、修理する「AIBO」に「移植」して修理をするしかありませんでした。
そこで「臓器提供」をしてもいいと申し出た旧型「AIBO」の持ち主が最後のお別れができるようにと、千葉県いすみ市の光福寺の住職さんが、解体される「AIBO」の持ち主の心を慰めるために「AIBO」の葬式を始めたのです。
「AIBO」の葬式は2015年から月に1回のペースで続いています。
葬式の意義とは
もしも今後、よりロボット技術が発展すればやがては人型のロボットが生まれ、そのロボットが壊れれば葬式をするようになるかもしれません。
もしそうなればその葬式は何のためにするのでしょうか。
多くの人は「葬式は死んだ人のためにするもの。盛大な葬式をすれば死んだ人が浮かばれる。長いお経を読んでもらえば死んだ人が喜ぶ。立派な戒名を付ければ死んだ人が死後の世界で幸せになれる」と思って葬式をしています。
しかし「AIBO」はどれだけ犬の仕草をしていてもそれはプログラムで、感情はありません。
今後生まれるであろう人型ロボットにしても同じです。
こう考えると葬式をする意味がわからなくなってきますが、仏教を説かれたお釈迦さまは「亡くなった人のために葬式や法事を行い、読経や戒名が亡くなった人のためになると思っている人がいるが、それは間違いだよ」と教えられています。
仏教=葬式のイメージをもっている方は少なくないように思いますが、その仏教を説かれたお釈迦さまがこのようにおっしゃるのはどういうことなのでしょうか。
こちらの記事で解説しています。
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