因果応報の意味は「悪い行いは悪い報いを受ける」だけではありません
「因果応報」という四字熟語は「不正をして私腹を肥やしていた社長が逮捕された。因果応報だ」のように「悪いことをしたらその報いで悪い結果がやってくる」という文脈で使われることが多いです。
因とは原因、果とは結果ですから、この場合は悪いことをするという原因に応じて悪い報いを受けたことを「因果応報」と言っています。
これは海外でもそのように使われているようですが、実は因果応報は悪い原因に対する悪い結果だけを言うのではないのです。
海外発の笑える因果応報
アメリカでこんな因果応報なことがありました。
ケンタッキー州に住むコーディ・ルッツさんはある大雪が降った翌日に婚約者とその妹さんの3人で大きな雪だるまを作りました。
婚約者とその妹さんはあまり雪が降らないミシシッピ州出身だったため初めての大雪が珍しく、はしゃいで雪だるまを作っているうちに笑顔の装飾や手足、ボタン、帽子まで付けた2.5mもの大作が出来上がりました。
3人はこの雪だるまに「フロスティ」と名付けるほど愛着を持っていましたが、その後事件は起こりました。
ルッツさんが仕事から帰ってきたとき、フロスティの前にトラックのわだちが伸びていたのを見つけたのです。
どこにでも嫌がらせをする人はいるもので、他人が作った雪だるまを壊して楽しむ悪者にフロスティが狙われてしまったのです。
ですが、その光景を見たルッツさんはこう叫びました。
「Instant karma!(因果応報だ!)」
実はこのフロスティ。雪だけで作っていたのではなく、土台となる大きな切り株を覆う形で作られていたのです。
トラックは勢いよく切り株に突っ込んだようで、切り株部分を覆っていた雪は吹き飛ばされて無くなっていましたがフロスティはその場に立ったままでした。
フロスティを壊そうとした悪者は、嫌がらせをしようとしたために自分が運転していたトラックを凹ませて多額の修理費を払う羽目になったのです。
正しい意味の因果応報
ルッツさんは「Instant karma!」と叫んでいましたが、Karma=カルマとは仏教の言葉で、「因」「業」という意味です。
「因果応報」は別の言葉で「自業自得」とも言います。
アメリカでは1970年にビートルズのジョン・レノンが「Instant Karma!」という曲を発表し、それが流行したためにアメリカでは悪いことをしてすぐに悪い結果が跳ね返ってくることを「Instant Karma!」と呼ぶのが浸透しているのです。
しかし、因果応報の元々の意味を考えますと「原因に応じた結果が報いる」ということですから悪い原因と悪い結果だけのことを言うのではありません。
良いことをしたために良い結果が来たことも「因果応報」です。
因果応報はもとは仏教から出た言葉でした。
仏教では因果応報について、
- 善因善果
- 悪因悪果
- 自因自果
と教えられます。
「因」とは心や口や身体の行い(この3つの行いを三業と言います)のことですから「善いことをすれば善い結果がやってくる。悪いことをすれば悪い結果がやってくる。自分の行いが自分の結果として返ってくる」というのが本来、仏教で教えられる正しい因果応報の意味です。
因果応報についてこちらの記事でも解説しています。
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