彼岸花の別名の1つは「南無阿弥陀仏」|なぜそう呼ばれる?
彼岸花と言えば9月下旬のお彼岸の時期に赤い花びらを咲かせる植物で、見たことがある方も多いでしょう。
彼岸花を見たら「あ、ヒガンバナ」だと思いますが、実は彼岸花には日本語以外の言葉も入れると1000以上の別名があります。
彼岸花は日本中で見られる花でしかも赤くて目立つので、その地域ごとにさまざまな呼ばれ方をされてきました。
その中で三重県では彼岸花のことを「南無阿弥陀仏(なんまいだっぽ)」と呼ばれます。
なぜ花の名前に「南無阿弥陀仏」と付けたのでしょうか。
お彼岸と彼岸花
彼岸花には1000以上の別名があると紹介しましたが、その中に「死人花(しびとばな・しひとはな)」「地獄花(じごくばな・じごっばな)」など、死後の世界に関する不穏な別名があります。
ちょうどお彼岸の時期に咲く花のためそのような名前が付けられたそうです。
なぜお彼岸というと死後の世界を連想するのでしょうか。
お彼岸についてはこちらをご覧ください。
→浄土真宗のお彼岸とは
彼岸花はきれいな色をしているため一箇所にたくさん植えて、風景を楽しめるようにしている所もあります。
埼玉県の巾着田(きんちゃくだ)や権現堂公園(ごんげんどうこうえん)、愛知県の矢勝川(やかちがわ)など、数百万本の彼岸花を植えたところもあり観光名所になっています。
なぜ彼岸花を「南無阿弥陀仏」と呼ぶの?
そんなきれいな彼岸花ですが、じつは花のすべての部分に毒を持ち、特に球根に毒成分を多く含みます。
彼岸花の球根は小さめの玉ねぎのような大きさで、見た感じでは茹でれば食べられそうな気がしますが、食べると中毒を起こします。(長時間水にさらすと毒抜きができて、一応食べられるようになります)
そのため、食べたら死んでしまうから、「その赤い花を食べたら死んでしまって、葬式で皆さんから『南無阿弥陀仏』と称えられるようになるよ」という意味で、彼岸花を「南無阿弥陀仏」(なんまいだっぽ)と言われるようになったそうです。
実際には彼岸花に含まれる主な毒であるリコリンは球根1g当たりに0.15mgで、リコリンの致死量は10gですので、よほどたくさん食べないと死に至ることはありません。
しかし2gほど食べると吐き気、下痢、嘔吐、胃腸障害、めまい、筋力低下、呼吸困難、呼吸不全、痙攣、中枢神経の麻痺などの中毒症状が表れます。
また子供が食べるとより少ない量で中毒になるため、やはり注意が必要です。
一方でこの毒を使ってモグラやネズミなどの小動物を防ぐことができるため、土葬が多かった昔の時代のお墓の周りには彼岸花が植えられて、遺体が食い荒らされるのを防いだそうです。
彼岸花といったら墓地を連想するのはそこから来ています。
今まで、彼岸花を「南無阿弥陀仏」と呼ばれる理由を説明いたしましたが、そもそも「南無阿弥陀仏」とは死んだ人に対して称えるものなのでしょうか。
「南無阿弥陀仏」についてはこちらをご覧ください。
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