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親鸞聖人の教えを聞いて「光明の広海」に浮かぶ

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カテゴリー:なるほど親鸞聖人 タグ: 更新日:2018/10/06
 

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昨今は仏教に関心を寄せ、学び始める人が増えてきました。
仏教を聞くと、人生が「光明の広海(こうみょうのこうかい・限りなく明るく、広い海)」にガラリと変わる、と親鸞聖人は仰います。
では、どう変わるのでしょう。

人生が「光り輝く広々とした海」になる

親鸞聖人は、主著の教行信証(きょうぎょうしんしょう)に、ご自身の体験を仰っています。

大悲の願船(だいひのがんせん)に乗じて、
光明の広海(こうみょうのこうかい)に浮かんだ

 

(意訳)
大悲の願船に乗じて見る人生の海は、千波万波きらめく明るい広海である

明るく希望に満ちたこの言葉には、すべての人の生きる目的が明示されています。
光明の広海に浮かんだ」とは、「人生が光り輝く広々とした海になった」ということです。
光明」とは一般にも使いますが、例えば努力を続けているのに、なかなか結果の出せなかった人が、何かのきっかけで成功の糸口を見つけた時、「光明が見えた」と言います。
不安で暗かった未来が、明るくなったからでしょう。
仏教「光明」とは「智慧」のこと。

親鸞聖人は、

仏の光明はこれ智慧の相なり。
教行信証

と仰っています。
智慧」とは「先を知るはたらき」をいいます。

「光明」「智慧」は「先を知るはたらき」

人間でも、「智恵がある人」は、思慮深く、先見力のある人のことです。

赤穂浪士のリーダー・大石内蔵助(おおいしくらのすけ)が、播州(兵庫県)赤穂藩の家老を務めていた頃のこと。
城下の町人の中に、赤穂で塩を造ったら、大いに藩の財政を潤すだろうと考えた者がいた。
そこで同志を帯同し、家老の大石に面会して“藩のためにぜひご許可を”と懇願した。
申請を詳しく聞いていた大石は、
 
「なるほど、その方らの考えは大変面白い。よく検討して沙汰しよう」
 
と答えた。
町人たちは、遅くとも3カ月か半年中には認可されるだろうと待っていたが、どれだけたっても何の音沙汰もない。
光陰矢のごとし、はや5年の歳月が流れた。
 
「大石様も、分かったような顔をしていても、何も分からないものだ」
一同、あきらめて、忘れかけていた13年目、ようやく呼び出しがかかった。
 
「その方らの提案は初めからよい発想とは思ったが、考慮すると問題があった。まず、塩を煮るには薪が要る。薪をたくには木を切らねばならぬ。多くの樹木を切ると山が裸になり、そこに大雨が降ればたちまち洪水だ。そうなれば田畑はメチャメチャ。農業の荒廃は一藩の荒廃である。
そう気がついたので、あれから13年、植林に尽力してきた。そろそろ木を切り出しても、山が裸になる心配はない。よって、その方らの製塩事業を許可する。大いに城下が潤うよう、努めてもらいたい」

 
後日、四十六士を結集して幾多の困難を乗り越え、見事、主君の恨みを晴らした大石の、智慮の周到さを垣間見るようです。

囲碁や将棋でも、強い人は何十手も先まで見通し、不利の芽を早々に摘んで、勝利に向かって一手一手、着実に打っていくといいます。
仏さまの智慧のすごさは、人間の智恵の比ではない。
恐れを知って、しかもそれを恐れず、突き進んでいく仏智(仏の智慧)のはたらきは、何ものにも恐れぬ百獣の王・ライオンに例えられます。
その仏さまの「光明、智慧」のはたらきによって、私たちの人生は「光明の広海」になるのだと、聖人は仰っているのです。

なぜ安心できないのか

誰もが先を読む智恵を持って、安心して生きたいと願っています。
ところが、私たちの人生の行く手には、さまざまな困難、苦難、不安になることが立ちはだかっています。
「十五 十六 十七と私の人生 暗かった」
という昔の歌がありますが、それだけ不安だったのでしょう。
なぜでしょうか。
「一寸先は闇」先が見えない、ハッキリしないからです。
車の運転でも、見通しのいい広い道なら安心して気持ちよく走れますが、霧がかかったり、街灯のない真っ暗な道では、安心して運転できません。
濃霧の山道を走っていると、数メートル先が分からず、いきなり対向車のヘッドライトが現れて肝を冷やすこともあります。
交差点の多い住宅街も同様で、いつ誰が飛び出してくるやら分かりません。
私たちは種々の不安を抱えながら、毎日を生きています。
株を持つ人は、株価が上がるか、下がるかの動向に、いつもドキドキ。
円高か、円安か。物価はどうなのか。
経済の先行きを見通せたら、どんなに安心できるでしょう。
また、婚約してから“本当にこの人で大丈夫だろうか”と不安を感じて入籍を躊躇する「マリッジブルー」という言葉もあります。
“将来ガンにならないだろうか”と多くの人が心配するのは、日本人の3人に1人が亡くなる病気だからでしょう。
最近はDNA検査でガンにかかる可能性が分かる。
この検査で乳ガンの確率が9割と診断されたアメリカの有名女優が、乳房を切除したのも、先の憂いをなくして安心したかったからでしょう。
不安を感じるのは、いずれも未来が心配だからです。
未来が暗いと、現在の心が暗くなるのです。

来世を知る人が「智者」

その、今の心を暗くしている不安の根元とは何でしょう。
仏教ではそれを「後生暗い心」と教えられています。
「後生」とは、私たちの100パーセント確実な未来である死んだ後のこと。
「後世」「来世」ともいいますが、必ず来る未来である「死後」がどうなるかハッキリしない心を「後生暗い心」といい、これが人生の不安の根本であると教えられます。
そして、この「後生暗い心」を破って、後生明るくしてくださるのが、仏さまの光明のはたらきだと説かれているのです。
人生の真の智恵者とは、人生の行く先を見通す人。
仏の光明、智慧のはたらきによって、後世(来世)がハッキリした「後世を知る者」であると蓮如上人はこう仰っています。

八万の法蔵(はちまんのほうぞう)を知るというとも後世を知らざる人を愚者とす。
たとい一文不知の尼入道(いちもんふちのあまにゅうどう)なりというとも後世を知るを智者とすと言えり。(御文章5帖目2通)

百科事典を丸暗記している物知りでも、後世(来世)を知らなければ愚者である。
字のタテヨコも分からない無学の人であっても、後世の明るい人を智者というのだ、と言われています。

どんなに多くのことを知っていて、世渡り上手であっても、自分の確実な未来に無知ならば、愚者と言われて当然でしょう。
卒業間近なのに、進路の決まっていない学生が、親や教員から「しっかりしろ」と叱咤されるのは、「早く行く先をハッキリさせよ」ということでしょう。
明日どうなるか分からなくても、万人に必ずやってくるのは後世(来世)です。
仏教でいう智者と愚者とは、その確実な未来である「後世」を知るか、否かで決まるのです。

「大悲の願船」とは「阿弥陀仏の本願」

冒頭で示した、
「大悲の願船に乗じて、光明の広海に浮かんだ」
のお言葉で親鸞聖人は、
「暗かった人生の海が、大悲の願船に乗せていただき、光明の広海に浮かんだぞ。
こんな素晴らしい人生になれるのだから、あなたも早く乗りなさいよ」

と仰っています。

この「大悲の願船」とは、阿弥陀仏の本願のことです。
阿弥陀仏とは、大宇宙にまします仏さま方の「本師本仏」
最も偉大な仏さまであり、地球上で仏教を説かれたお釈迦さまの先生です。
その阿弥陀仏(弥陀)が、
「すべての人を必ず絶対の幸福にする」
という素晴らしいお約束をなされている。
これを「弥陀の本願」といいます。
この弥陀の本願(お約束)のとおりに救われて、現在ただ今、絶対の幸福になったことを親鸞聖人「光明の広海に浮かんだ」と仰っているのです。
この絶対の幸福に生かされれば、阿弥陀仏の光明(智慧)によって真に明るい未来が開かれます。
そして、この世から明るく広大な海を、悠々と航海する人生になるのです。
この幸福になることが、すべての人の生まれてきた目的です。

弥陀の光明は諸仏にズバ抜けたお力

仏とは「光明(智慧)」「寿命(慈悲)」の覚体だといわれます。
仏は皆、私たちを救わんとするお力を持っていられるのですが、中でも、すべての仏(諸仏)から本師本仏(先生)と崇められる阿弥陀仏には、
「光明無量(限りない光)」
「寿命無量(限りない命)」
の二つの大きなお徳(特長)があり、特に光明(智慧)が、諸仏にズバ抜けていると、教えられています。

無量寿仏の威神光明は最尊第一にして諸仏の光明の及ぶこと能わざる所なり。
(大無量寿経)

 
(意訳)
阿弥陀仏の光明は大宇宙最高であり、十方の諸仏の光明の遠く及ばぬ勝れた光明である。

無明の闇を破するゆえ 智慧光仏となづけたり
一切諸仏三乗衆 ともに嘆誉したまえり (親鸞聖人・浄土和讃)

 
(意訳)
阿弥陀仏を、一切の諸仏や菩薩たちが「智慧光仏」と絶賛するのは、苦悩の根元である後生暗い心・無明の闇を破り、絶対の幸福にするお力があるからである。

まとめ

“人は皆、幸せになるために生まれてきた。そして、必ずなれる”
それが親鸞聖人の教えです。

 

弥陀の本願に救い摂られ、絶対の幸福になると、来世はどうハッキリするのか、絶対の幸福とはどんな幸せなのでしょうか。

お釈迦さまが説かれた絶対の幸福|底抜けに明るい心の長者になれる

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あさだ よしあき

ブログ作成のお手伝いをしています「あさだよしあき」です。 東京大学在学中、稲盛和夫さんの本をきっかけに、仏教を学ぶようになりました。 20年以上学んできたことを、年間100回以上、仏教講座でわかりやすく伝えています。
 
   

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