一休さんが「こやつが法は天下一」と言った教え|蓮如上人と一休さん
とんちで有名な一休さんですが、アニメの小僧姿は有名でも、大人の一休さんがどんな人かを知る人は少ないでしょう。
一休さんは室町時代に活躍した臨済宗(禅宗の一つ)の僧侶です。
本名を一休宗純(いっきゅうそうじゅん)と言い、生涯に色々と変わったことをしたため、江戸時代になって「一休咄(いっきゅうばなし)」という説話集が出されました。
「屏風の虎退治」や「このはし渡るべからず」の話はこの中に載っている話です。
実際の一休さんも破天荒な人でしたが、その一休さんが
「襟巻の あたたかそうな 黒坊主 こやつが法は 天下一なり」
という歌を詠んで、ある教えを称賛しています。
一体誰の教えでしょうか。
破天荒な一休さん
この歌を見ればわかるように、一休さんの作る歌は一風変わったところがあります。
「人生は 食て寝て起きて 糞垂れて 子は親となる 子は親となる」
「世の中の 娘が嫁と 花咲いて 嬶(かかあ)としぼんで 婆(ばば)と散りゆく」
など人生について歌ったものや、ある元旦の日には
「元旦や 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし 」
と言いながら練り歩いたりもしました。
歌自体は変わっていますが、その中で詠まれていることは疑いようのない事実であり、諸行無常、無常迅速であることを教えています。
蓮如上人と一休さん
蓮如上人は浄土真宗を開かれた親鸞聖人の末裔で、本願寺8代目の法主であり、日本中に浄土真宗を弘められました。
今日、日本では浄土真宗が最大の宗派ですが、それは蓮如上人時代に日本中に伝えられたことに由縁があります。
その蓮如上人と一休とは、蓮如上人のほうが一休より20歳ほど年下でしたが仲が良く、2人にまつわるエピソードがいくつも残っています。
↓の記事のマンガで紹介しています。
蓮如上人物語 蓮如上人と一休(前編)「曲がった松の木を、まっすぐに見る」
蓮如上人物語 蓮如上人と一休(後編)「蓋ある水に月は宿らぬ」
ある年、蓮如上人は親鸞聖人二百回忌法要が営まれました。
そこに一休が参詣したときに詠んだのが冒頭の
「襟巻の あたたかそうな 黒坊主 こやつが法は 天下一なり」
の歌です。
「襟巻のあたたかそうな黒坊主」とは親鸞聖人のことです。
親鸞聖人の姿を彫った御木像を見ますと、黒漆で塗られており襟巻(マフラーのような防寒具)をされていることから、一休さんは親鸞聖人のことをこのように呼んだのでしょう。
一休は臨済宗ですが、浄土真宗・親鸞聖人の教えを「天下一」と言っていることからも蓮如上人からお聞きした、親鸞聖人の教えに敬服していたことがわかります。
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