親鸞聖人の長子・善鸞の邪義と日蓮の出現2
善鸞の「秘密の法文」
善鸞の始めた邪義「秘密の法文」とはどんなものでしょうか。今日「土蔵秘事(どぞうひじ)」「カギ法門」「不言講(いわずこう)」などといわれ、全国に広がっています。親鸞聖人・覚如上人・蓮如上人の教えられたことと異なります。
その特徴は、以下のようなものです。
1,絶対に秘密を守れと言う
2,夜中に授ける
3,彼らのいう知識(仏教の先生)から「それでよい」と認可される
4,儀式によって信心をもらう
5,救われた年月日時に覚えがなければならぬ、とやかましく言う
6,救われた後は、聞く気がなくなる
善鸞の邪義は、関東の人々の間に、次第に広がっていきました。「溺れる者はわらにもすがる」、焦りから惑い、「秘密の法文がある」というささやきになびく人が、一人、また一人と、現れたのです。
不穏な空気を察した親鸞聖人の教えを聞いていた人たちが、親鸞聖人のお弟子方に相談しようと、稲田の草庵へ駆けつけて、対応を検討するようになりました。
*稲田の草庵……現在の茨城県笠間市稲田。親鸞聖人がお住まいになっていた所
わが子・善鸞のそんなふるまいを知られた親鸞聖人の悲しみは、いかばかりであったでしょう。再三再四、京都から諌めの手紙を送られています。
「善鸞よ。仏法を歪曲し、人々を苦しめる以上の大罪はないのだ。今からでも遅くない。深く懺悔し、正しい仏法をお伝えするのだ」
このような善鸞の邪義と日蓮の出現で、まるで地震と台風とが同時に襲来したように、関東の人たちの心は大きく動乱しました。
「秘密の法文は本当にあるのか?」
「念仏は、地獄に堕ちるタネなのか?」
「ほかに助かる道があるのでは……」
本当のところを、親鸞聖人に直接、お聞きしたい。この思いは次第に強まっていきました。
関東で親鸞聖人の教えを聞いていた人たちは、重大な決断をするのです。
(続き)
最新記事 by あさだ よしあき (全て見る)
- 「南無阿弥陀仏」って何だろう?|念仏についての6つの疑問(後) - 2024年11月18日
- 「南無阿弥陀仏」って何だろう?|念仏についての6つの疑問(前) - 2024年10月21日
-
親鸞聖人が教える
お盆に思い出す亡くなった人に今からできる恩返しとは(後) - 2024年10月15日