浄土真宗の墓参りの意義
(質問):お盆やお彼岸に墓参りに行きますが、浄土真宗では、墓参りの意義をどのように教えられていますでしょうか。
(解答)
私たちはお盆やお彼岸に墓参りに行き、先祖供養をしています。
普段、忙しく、先祖を偲ぶこともなかなかできないので、墓参りを大切にしている人も多いと思います。
墓参りは浄土真宗では、先祖を偲ぶと共に、私自身を振り返るご縁だと教えられています。
私たちは、朝から晩まで、忙しい忙しいで、仕事や家事などに追い回されて、静かに自己を振り返ることがなかなかできません。忙しくなればなるほど、人生を振り返る時間をとることは必要ではないでしょうか。
講演でも落語でも、ずっと話し続けるのではなく、適当な間を入れることにより、話に緩急ができ、聞く人を引きつけます。
水墨画の空間は、画面全体を生かす大きな役割を果たしていますし、茶の湯の間の和敬清寂もそうです。
忙しければ忙しいほど、普段の日常から離れて、冷静に人生を振り返る時間が欲しいものです。
その点、墓参りに行き、静かに墓前にぬかずくことは、人生を見つめる得難い機会になるのではないでしょうか。
仕事、仕事で忙しいが、何の為に働いているのだろうか。
毎日、同じことの繰り返しで、このまま過ぎていっていいのだろうか。
残りの人生、これで終わっていいのだろうか。
ふと、心に浮かんでくるのではないでしょうか。
先祖を偲び、自身を振り返るご縁となれば、有意義な墓参りとなります。
親鸞聖人は、常にこう言われていたと記録されています。
某(親鸞)閉眼せば賀茂河にいれて魚に与うべし(改邪鈔)
(意訳)私が死んだら、賀茂川へ捨てて、魚に与えよ。
「私の墓は必要ない、川へ捨ててくれ」とは、
「自身を振り返ることを忘れるなよ」の強烈なメッセージです。
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