除夜の鐘はなぜ108回つくのでしょうか?
(質問):除夜の鐘(じょやのかね)はなぜ108回つくのでしょうか。
(解答)
12月31日の夜、近くに寺がある人は、除夜の鐘をついたことがあるかもしれません。
除夜とは、大晦日の夜のことです。大晦日は、1年最後の締めの日で、行く年を除き、来る年を迎える日ですから、「除日(じょじつ)」と言います。その日の夜ですから「除夜(じょや)」です。
なぜその日に鐘が108回つかれるのでしょうか。
108とは、仏教で教えられる煩悩の数からきています。
「今年は、煩悩に振り回された1年であった。新年はそうならないように」と、108回つかれるようになったそうです。
煩悩とは何か。
煩悩とは、私たちを煩わせ悩ませるもので、1人に108あると教えられます。
その中でも特に私たちを煩わせ悩ませるものが3つあります。
これを三毒の煩悩といい、以下の3つです。
貪欲(とんよく)
瞋恚(しんに)
愚痴(ぐち)
昔話に出てくる鬼に赤鬼、青鬼、黒鬼が出てくるのは、それぞれ貪欲、瞋恚、愚痴の色を表しています。
貪欲とは欲の心で、なければないで欲しい、あればあったでもっと欲しいと、キリがなく欲しがる心をいいます。
欲の色を青色に例えられるのは、海は深いほど青みを増すことから、欲の深さを表し、欲はキリがなく、どんどん欲深くなることを示しています。また、水ということから、水はどんどん広がっていくように、欲ももっともっとと広がっていく様を表しています。
特に人間には強い欲が5つあると教えられます。これを五欲といいます。
食欲 財欲 色欲 名誉欲 睡眠欲
食欲は、食べたい、飲みたいの心。
財欲は、金や物が欲しいという物欲。
色欲は、男女の欲。
名誉欲は、人から褒められたい、悪く言われたくない心。
睡眠欲は、眠たい、楽がしたい心。
いずれも、キリがなく、どこまでいっても満足しない心ですので、手に入れては新たな欲が出てきて煩い悩みます。
瞋恚とは、怒りの心で、欲が妨げられた時に起きます。
怒りを赤色に例えられるのは、「怒りの炎」ともいわれるように、怒りの心が起きると体が熱くなり、真っ赤な顔をして怒るからです。
「怒りは無謀に始まり後悔に終わる」
怒りの炎は自分の周りを焼け野原にしてしまいます。
一時の怒りで言ってはいけないことを言って人間関係を壊したり、殴りかかって警察沙汰になったり、物に当たって大事なものを失ってしまいます。
この怒りの心のために私たちは煩い悩んでいます。
愚痴とは、ねたみそねみ、恨み、憎しみの心です。
愚痴を黒色に例えられるのは、汚い、醜い心だからです。
怒りの心が起こっても、それを表に出すことができないときに私たちはその相手を恨み、憎みます。
自分よりも勝っている人を見て、心ひそかに、ねたみの心を起こします。とても他人に知られたくない、言えないドス黒い心です。
自分が苦しいと、自分は悪くない、あの人のせいだ、この人のせいだと他人を恨む心も醜い心で、どうしてこんな心が起きるのかと煩い悩みます。
これらの心で去年も今年も来年も、毎日苦しんでいるのが私たちです。
大晦日だけでなく、私たちは、朝から晩まで、どんなことを心で思っているか、振り返ってみましょう。
怒りの心で苦しんだことのある方はこちらをどうぞ
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